アウディは、2026年F1の新パワーユニットレギュレーションを巡る議論が激化するなか、圧縮比の取り締まり方法についてFIAに明確な判断を求めた最新のメーカーとなった。焦点となっているのは、新レギュレーションで内燃機関の圧縮比が18:1から16:1へ引き下げられる点と、エンジンが作動温度に達した後の状態をレギュレーションが十分に想定しているかどうかだ。
現行レギュレーションでは、圧縮比の測定はエンジン停止時かつ常温条件下で行われると定められている。しかし、ライバル勢の一部は、熱膨張を利用することで、走行中に実質的により高い圧縮比を得られる可能性があると懸念している。アウディの2026年マシン発表の場で、テクニカルディレクターのジェームス・キーは、この問題がホモロゲーション制の公平性そのものに関わると語った。「我々は、ここでFIAが正しい判断を下すことを信頼しなければならない。新しいレギュレーションでは、平等な競争条件が必要だ」とキーは述べた。「もし誰かが巧妙なディフューザーを思いつき、それが好ましくないと判断された場合、他のチームは使えないのに、考案したチームだけがその年いっぱい使える、という状況は受け入れられない。それは理にかなっていない。我々は決して認めない」この発言は、2009年のダブルディフューザー問題のように、文言の抜け穴がシーズン中に事実上コピー不能な優位性を生んだ過去のレギュレーション論争を想起させるものだ。2026年のパワーユニットは厳格なホモロゲーションとコストキャップの下で運用されるため、グレーゾーンによる性能向上が事実上修正不可能になる事態を、各チームは強く警戒している。「もしレギュレーションの意図を回避しているのであれば、何らかの形で管理されるべきだ」とキーは続けた。「明白なアドバンテージが存在し、それに対して何もできないままシーズンを戦うことを、誰も望んでいない。我々としては、FIAが正しい判断を下してくれることを願っている」ホンダの2026年F1パワーユニット『RA262Hアウディの立場は、フェラーリやホンダと足並みをそろえるものとみられている。両陣営は、圧縮比を静的検査時だけでなく、常に遵守すべき上限として扱うべきかどうかをFIAに問いかけているとされる。ホンダ・レーシング・コーポレーションの社長である渡辺康治は、レギュレーションには解釈の余地が残されていることを認めており、ホンダCEOの三部敏宏も、どの技術コンセプトが許容されるのかについてメーカー側がFIAに確認を求めていると語った。「レギュレーションには、すべてが細部まで明確に書かれているわけではない」と三部は述べた。「新しいレギュレーションの中で、各パワーユニットにおける新技術の可能性を検討している。解釈の余地は多く、それもまたレースの一部だ。最終的にそれが良いのか悪いのかを決めるのはFIAだ」一方で、メルセデスおよびレッドブル・フォード・パワートレインズは、不正が行われているとの見方を否定している。両者は、この状況から利益を得ていると噂されるメーカーの一角とされているが、その指摘を一蹴している。レッドブルのエンジン部門責任者であるベン・ホジキンソンは、この論争が過度に誇張されていると繰り返し主張してきた。「我々が何をしているかは分かっているし、それが合法であると確信している」とホジキンソンは語った。「もちろん、レギュレーションが許す限界まで突き詰めている。それは皆がやっていることだと思う。正直なところ、大した問題ではないというのが私の感覚だ」ホジキンソンは、圧縮比の検査が常温条件で行われると定義しているレギュレーション文言を指摘しつつ、すべてのメーカーが熱効率を最大化しようとするのは当然だとも認めている。FIAは現時点で即時介入には否定的で、不正の証拠はなく、この問題は抗議ではなく技術的フォーラムを通じて扱われていると強調している。なお、2026年パワーユニットを供給する5社、すなわちメルセデス、レッドブル・フォード、フェラーリ、ホンダ、アウディが参加する会合が木曜日に予定されており、走行状態を想定した動的測定方法も議題の一つになる見込みだ。
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