F1の2026年新世代マシンは、当初の想定よりも早く走り始めることになりそうだ。Grada3によれば、アウディとアルピーヌはFIAから特別な許可を得て、1月下旬に予定されている非公開の合同テストに先立ち、1月第2週にバルセロナでシェイクダウン走行を実施するという。
スペインの同メディアによると、アウディは1月9日にモンメロでフィルミングデーを活用し、新たにワークス体制としてブランドされたマシンで、2026年レギュレーション下での最初の走行距離を刻む予定だとされている。アルピーヌもこれに続き、1月23日に予定されている新車発表に先立ち、メルセデス製パワーユニットを搭載したA526で1月11日に走行を行う見込みだと報じられている。こうした前倒しの走行は、F1史上最も短いオフシーズンと、2026年規則のもとで信頼性、エネルギーマネジメントシステム、そして空力性能を可能な限り早期に検証する必要性が高まっている状況を背景としている。中には、望遠レンズによる偵察撮影を防ぐため、私設の警備を用意するチームもあると伝えられている。Auto Motor und Sportもこの報道を追認しており、アウディが数か月にわたり早期デビューに向けた準備を進めてきたことに言及。クリスマス前には、完成したモノコックと新型パワーユニットを組み合わせて稼働させていたとされ、チーム代表のジョナサン・ウィートリーは「これほど早い段階でここまで進んだ記憶はない」と語ったという。一方で、アルピーヌは問い合わせに対し、1月11日の走行実施については否定している。2026年レギュレーション初期段階が示す“異例の緊迫感”今回報じられた早期シェイクダウンは、2026年レギュレーションが各チームに与えている技術的プレッシャーの大きさを象徴している。新しいパワーユニット概念と車体規則が同時に導入される中で、信頼性やエネルギー管理の確認は後回しにできない領域となっている。特にアウディは、新規ワークス参戦という立場から、通常以上に準備段階でのリスク低減を重視している様子がうかがえる。公式テストを待たずに最初の走行を行うという判断自体が、2026年シーズン序盤の完成度を左右する重要な一手になる可能性もある。一方で、アルピーヌが日程を否定した点は、報道と実際の準備状況との間にまだ流動性が残されていることも示している。いずれにしても、2026年F1は「最初に走り出すこと」そのものが、技術競争の一部となりつつあることは間違いなさそうだ。
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