アストンマーティンがチーム経営体制の大幅な再編に着手しており、次期チーム代表候補としてクリスチャン・ホーナーの名前が急浮上している。関係者によれば、現CEO兼チーム代表のアンディ・コーウェルは、ホンダとのパワーユニット提携に向けた新たな役割へ移る見通しだという。候補者リストには、ホーナーのほかアンドレアス・ザイドル、そして現在アウディCOOを務めるマッティア・ビノットも含まれており、ローレンス・ストロールが最終判断を下す段階に入っている。
アストンマーティン内部の力学変化:ニューウェイ加入で生じた方向性のズレコーウェルはメルセデスF1のパワーユニット部門を率いた実績を持ち、2023年末にアストンマーティンへ加入。当初は長期的なチーム強化を担う中心人物と見られていた。しかし、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンの技術体制と働き方を大きく変革する中で、コーウェルとの間に意見の相違が生じていたとされる。その結果、チーム代表職から離れ、今後はホンダとの新パワーユニット開発に軸足を移す方向で調整が進んでいるという。チーム代表候補にホーナー、ザイドル、ビノットローレンス・ストロールは現在、以下3名を中心に後任候補を精査している。■ クリスチャン・ホーナー■ アンドレアス・ザイドル■ マッティア・ビノットホーナーは2025年7月にレッドブルを離れており、2026年初頭にF1復帰が可能になるとされる。ザイドルはマクラーレン時代に組織改革を成功させた実績を持ち、ビノットはフェラーリで技術部門とチーム運営の両方を経験している。アストンマーティンの狙い:2026年ホンダPUに向けた体制再構築アストンマーティンは2026年からホンダ製パワーユニットを搭載する。この新時代の入り口で、技術・組織・人材の三位一体の刷新を目指す動きが強まっている。特に、ニューウェイによる設計思想の全面的な見直しに加え、パワートレイン部門の強化を急ぐ必要があるため、コーウェルの役割シフトは「配置転換による最大効率化」とみられる。その一方で、現場の統率力と政治交渉力の高いチーム代表を新たに迎える意図が明確になった。ホーナー起用の意味:アストンに必要なのは“勝たせる政治力”かホーナーを候補に挙げたことは、アストンマーティンが単なる技術力強化だけでなく、パドック内での影響力拡大まで視野に入れていることを示す。・スポンサー交渉・ドライバー市場での主導権・スタッフ獲得競争・パドック内の政治戦略これらにおいてホーナーはF1随一の実績を持ち、ニューウェイとの再タッグも実現する可能性がある。ただし、2026年のホンダPU導入、フェルナンド・アロンソとの関係性、そしてストロール家との権力バランスをどうマネジメントするかは、大きな課題となる。最終決定は近いが、流動的ストロールはまだ最終判断を下しておらず、複数の候補を並行して検討中とされる。・ニューウェイ主導の技術改革・ホンダPUとの協業体制・2026年レギュレーションへの対応これらが重なるタイミングでのトップ交代となるため、アストンマーティンにとって今回の決定は“2026年以降の成否を左右する最重要案件”となる。今後、ホーナーが本当に復帰を受け入れるのか、ザイドルやビノットを含め交渉がどこまで進むのかが焦点となる。
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