角田裕毅は、2026年シーズンに向けてレッドブルのレースシートを失い、F1フル参戦から一歩退く立場となった。この決定を受け、スカイスポーツのテッド・クラビッツは、角田裕毅の将来について「気の毒に思う」と語りつつ、再びF1のレースシートに戻る道は極めて険しくなったとの見方を示している。レッドブルは、レーシングブルズからアイザック・ハジャーを昇格させ、2026年は角田裕毅に代えて起用することを決断した。これにより、角田裕毅は2026年シーズン、レッドブルおよびレーシングブルズのリザーブドライバーとして登録される。
レッドブルはこの12か月で3度目となるNo.2ドライバー交代を選択した。角田裕毅は2025年3月、リアム・ローソンとシートを入れ替える形でレッドブルに昇格したが、その前の2024年12月にはローソンがセルジオ・ペレスの後任として起用されていた。レッドブルは、2025年開幕2戦でマシン適応に苦しんだローソンに早々に見切りをつけ、再びレーシングブルズへ戻した。そして残る22戦と5回のスプリントイベントを角田裕毅に託し、マックス・フェルスタッペンのドライバーズタイトル獲得を支える役割を期待した。しかし、角田裕毅がレッドブルで挙げたポイントは22戦と5スプリントを通じてわずか30点にとどまった。これを受け、ミルトンキーンズのチームはアブダビでの最終戦を前に、2026年はハジャーをレーシングブルズから昇格させる決断を下した。ハジャーにとってはF1グリッドでの2期目となる。リザーブ転向がF1復帰の道を閉ざす可能性レッドブルは、2025年最終戦ヤス・マリーナを前に、2026年に向けてハジャーが角田裕毅に代わることを正式発表した。角田裕毅は2026年、レッドブルおよびレーシングブルズのリザーブドライバーに就任する。一方、リアム・ローソンは新契約を得て、姉妹チームでアービッド・リンドブラッドとコンビを組むことになった。クラビッツは、角田裕毅が2026年にレッドブルのリザーブドライバーという立場を受け入れたことで、F1のフル参戦シートに戻る可能性が事実上断たれたのではないかと危惧している。特に問題視したのは、角田裕毅がホンダとのつながりを「断ち切った」ように見える点だ。ホンダは2026年からレッドブルを離れ、アストンマーティンと組むことが決まっている。スカイスポーツのF1ポッドキャストで、クラビッツは次のように語った。「残念なのは、角田裕毅について一言触れさせてほしいということだ。良いドライバーで、F1にとって素晴らしいキャラクターで、感じのいい若者だ。でも、彼が再びF1のレースシートに戻れるかどうか、正直分からない。本当に戻ってほしいと思っているが、どうやって可能なのかが見えない」「彼はホンダのリザーブドライバーですらない。レッドブルのリザーブドライバーなんだ。つまり、アストンマーティンと何らかの形で復帰を目指すうえで役立ったかもしれないホンダとのリンクを、自ら断ち切ったように見える。だから、レッドブルの枠内に戻る未来も見えない」「彼の責任ではなかった」と擁護クラビッツは、角田裕毅が置かれた状況そのものが不運だったと強調する。「残念なのは、これは彼の責任ではなかったということだ。彼はレッドブルを助けるために、トロ・ロッソ、私がそう呼び続けているが、アルファタウリではなくレーシングブルズから移ってきた」「リアムとうまくいかなかったから彼が呼ばれ、チームが望むことはすべてやった。確かにイモラでのクラッシュは痛手で、そこから流れが決定づけられた部分はある」「それでも彼は、アブダビではランド・ノリスを芝生側に押し出そうとしたり、牽制したり、鼓舞したりと、できることはすべてやった。その結果、自分自身に5秒ペナルティが科された。それでもだ。だから私は本当に角田裕毅が気の毒だと思っている」ホンダ移籍が「命綱」と見られていた理由ホンダが2026年からアストンマーティンと組むことは、角田裕毅にとってF1に残るための「命綱」になると広く見られてきた。角田裕毅自身も「チャンスはあると思う」と語っているが、25歳の彼は2026年にどのカテゴリーで走ることになるのか、まだ分かっていない。角田裕毅は2021年、当時アルファタウリと呼ばれていたレーシングブルズでF1デビューを果たし、5年間にわたりF1で戦ってきた。ホンダは2017年から彼を支援し、2019年にレッドブル陣営入りする際も重要な役割を果たしてきた。角田裕毅は、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト出身ドライバーの中でも、最も成功した存在の一人だ。将来的には、2027年にアストンマーティンでシートが空く可能性もある。フェルナンド・アロンソとランス・ストロールはいずれも2026年末で契約が切れる予定だからだ。ただし、アストンマーティンは2026年シーズンを通して、ジャック・クロフォードがリザーブドライバーを務めることをすでに確認している。角田裕毅が再びF1グリッドに戻るためには、多くの条件が味方する必要がある。報道によれば、ホンダは2026年も角田裕毅をF1に残すための契約案をレッドブルに提示したものの、レッドブル側がこれを拒否したとも言われている。ホンダは引き続き旧型車テスト(Testing of Previous Car/旧型車テスト)向けにエンジン供給を行う予定だ。レッドブルは2026年から初めて自社製パワーユニットを使用する。これは2020年にホンダがF1撤退を発表したことを受け、クリスチャン・ホーナーがレッドブル・パワートレインズを設立した結果である。その後、2026年F1レギュレーションを見据え、ホンダはアストンマーティンと新たなパートナーシップを結ぶことになった。
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