角田裕毅(レッドブル)が2025年F1第14戦ハンガリーGP決勝においてニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)をコース外に押し出したとして審議対象となったが、FIAスチュワードは「ペナルティなし(No further action)」との裁定を下した。問題となったのはレース中盤、16時10分頃に発生したターン1での接触シーン。ヒュルケンベルグが角田裕毅の外側からオーバーテイクを試みた際、角田はポジションを守ろうとする過程でアンダーステアを起こし、結果的にヒュルケンベルグをコース外に押し出した。
しかし、ヒュルケンベルグはすぐにコースへ復帰し、角田の前でレースを続行。これを受けてスチュワードは、両者がこのインシデントに等しく関与しており、最終的に順位が正しく保たれたと判断。国際モータースポーツ競技規則(ISC)附則L第4章第2条bの違反には該当しないとして、処分は科さないと決定した。裁定文には次のように記されている:「27号車(ヒュルケンベルグ)は22号車(角田)の外側からターン1でオーバーテイクを試み、ライン上の優先権を持っていた。22号車はポジションを守ろうとしてアンダーステアを起こし、27号車をコース外に押し出したが、27号車は22号車の前でコースに復帰した。スチュワードは両者がインシデントに寄与し、正しい順位でレースを継続したと判断したため、処分は科さない」この決定により、角田裕毅に対するタイムペナルティや警告などの措置は取られないことが正式に確定した。なお、FIAはすべての決定が証拠と規則に基づき独立して行われていることを強調している。ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)13位後方スタートとなったヒュルケンベルグにとって、ハンガリーGPは厳しい展開だった。狭いハンガロリンクでのトラフィックに苦しみながらも、チームはアグレッシブな2ストップ戦略を選択。序盤こそ希望が見えたが、結果的に多くのライバルが採用した1ストップの方が効果的だったと振り返る。最大の敗因は前日の予選で「上手く実行できなかったこと」にあるとし、レース結果にも直結したと認めた。一方で、チームメイトのガブリエル・ボルトレトが8ポイントを獲得したことには満足感を示し、スペインGP以降6戦連続入賞というチームの流れを前向きに捉えている。角田裕毅(レッドブル)17位角田裕毅にとって、今週末は終始苦しいものだった。決勝もスタート前から厳しい展開を予想しており、ポイント圏進出は困難と認識していた。決定的だったのはレース中盤、フロントウイングのダメージによりガーニーフラップが脱落し、ペースとグリップが大きく低下。これにより有効な戦略判断も難しくなり、事実上レースは「終わった」と述べている。それでも今季を振り返ると、スパで導入された新型フロア以降、着実に前進している実感があると語り、フェルスタッペンとの差は0.1秒まで縮まっていると前向きな評価も加えた。レース翌日にはすぐにシミュレーター作業に取り組む予定で、夏休み中も巻き返しに向けて準備を進める決意を示している。