角田裕毅は、レッドブル・レーシングへの急な昇格を果たした後、先週シルバーストンで行われた2023年型レッドブルF1マシンによるテスト走行で、当初期待されたほどの成果を得られなかったと語った。その原因は、彼自身が表現したところの「典型的なブリティッシュウェザー」だった。リアム・ローソンとの交代により突然F1のトップチームに抜擢された角田裕毅は、日本、バーレーン、サウジアラビアの3連戦をこなすこととなった。
しかし、ジェッダでは「まだ半分も理解できていない」と話すなど、新マシンへの適応に苦労しているだった。その状況を打開すべく、2021~2023年のマシンを用いたテスト(TPC=Testing of Previous Cars)で理解を深める狙いだったが、当日はウェットコンディションとなり、計画していた走行距離を消化することができなかった。加えて、乾いた路面での走行時にはマシントラブルも発生し、走行時間はさらに制限された。「典型的なブリティッシュウェザーを体験しました」と角田裕毅はコメント。「最初は路面が濡れていて、ウェットタイヤは無駄にしたくなかったので持って行きませんでした。なので、路面が乾くまでかなり待つことになりました。しかも終盤にはマシンにトラブルも起きてしまい、あまり走れませんでした」それでも角田裕毅は「面白い経験だった」と前向きに振り返ったが、異なるコンディションとサーキット特性のために、現行マシンに通じる技術的な収穫は限定的だったという。「無駄な混乱を避けるため、感じたことは明確に伝えましたが、それ以上は言い過ぎないようにしました」と角田裕毅は述べ、感覚的な部分での自信向上にはつながった可能性を示唆した。「脳や筋肉の記憶に自然と入っていく部分はあると思います。なのでマイアミの週末では少し違った感覚が得られるかもしれません。」一方で、マシンのセットアップに関する理解については「本当に限られた時間だったので、望んでいたセッティング変更のテストまではできませんでした」と角田裕毅は振り返った。これまで角田裕毅は、自信の欠如が課題ではないと繰り返してきた。実際、走行スタイルを見ても、前任のリアム・ローソンやセルジオ・ペレスに比べてアグレッシブな姿勢が目立つ。しかし、マシンの限界での挙動に対する理解には、まだ時間が必要だと感じている。「まだ完全に慣れるにはもう少し時間が必要です。今のところの進歩には満足していますし、自信もありますが、予選で100%攻めた時に初めて出るような挙動にまだ対応しきれていません」3連戦中の進歩は確実で、バーレーンでは9位入賞を果たした。サウジアラビアでもポイント獲得が見込まれたが、ピエール・ガスリーとの1周目の接触により両者リタイアとなった。現行のレッドブルマシンについては、過去に所属していたレーシングブルズの車両と比べて「ウィンドウがやや狭く、シビアなセッティングが求められる」とも説明する。「例えば鈴鹿で試したセッティングも、フィーリングは良かったのにタイムには全くつながらなかった」と明かし、時には“違和感を感じてもタイムが出るなら、その方向性を受け入れる”必要もあると語った。「Q3の最後のラップでプッシュしたら、予想外の大きなスナップが起きました。それくらい、まだリミットを完全には把握できていません。でも、前を向いて一歩ずつ積み上げていくだけです」
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