F1フランスGPの決勝を13位で終えた角田裕毅。ピットレーンからスタートして7つポジションを上げたことは悪くはないパフォーマンスだが、それよりも予選Q1でのクラッシュはやってはいけない大失態だった。角田裕毅が速いドライバーであることはレッドブル上層部も評価しているが、それだけでは生き残れないのがレッドブルのドライバープログラム。
過去に2016年にレッドブル・レーシングからトロロッソに降格になったダニール・クビアトは、レース中のクラッシュが原因だったし、2019年に降格となったピエール・ガスリーもプレシーズンテストでクラッシュを喫したことで数少ないパーツを壊し、結果的にそのシーズンでレッドブル・レーシングは劣勢に立たされることになった。角田裕毅は、第2戦F1エミリア・ロマーニャGPの予選Q1でもクラッシュをしている。その際、「プッシュする必要のないQ1」だったことを指摘されている。また、F1モナコGPのフリー走行では「壁から離れるように」と忠告されていたにもかかわらず、クラッシュを喫して60分という貴重なプラクティスの半分を失い、レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコの怒りを買った。結果的に、レッドブルは角田裕毅を英国からイタリアに転居され、アルファタウリ・ホンダF1のチーム代表であるフランツ・トストに再教育を命じた。F1アゼルバイジャンGPではその効果があってか、Q3初進出を果たして、7位入賞を果たした。それでも、予選Q3でクラッシュを喫してマシンを壊している。そして、角田裕毅はF1フランスGPの予選Q1でまたもクラッシュを喫した。まだタイムを出していない1回目のアタックであり、マシンに問題があったわけではなく、ドライビングミスだ。「ターン1で黄色い縁石の内側に行き過ぎました・・・そしてスロットルを開けたとき、リアタイヤがまだ黄色い縁石に残っていたようで、スピンアウトてしまいました」と角田裕毅は語っている。「バリアを回避するためにできるだけブレーキをかけようとしましたが、まるでアイススケートのようでしたし、後ろから突っ込んでしまいました」今年からF1には1億4500万ドルの予算上限が導入され、各チームが節約しながらシーズンを戦っている。F1エミリア・ロマーニャGPでマシンを大破させたバルテリ・ボッタスのマシンの修復には約139万ドル(約1億5000万円)がかかったとされている。その結果、メルセデスF1はコストを理由にピレリのタイヤテストをキャンセルしている。また、F1フランスGPではレッドブル・レーシングがマックス・フェルスタッペンの破損したフロントウイングのパーツを回収できないかF1レースディレクターに問い合わせていた。フロントウイング1つで1000万円はかかるとされ、その費用さえも抑えたいのが実情だ。それを考えれば、角田裕毅の度重なるクラッシュがどれほどチームに迷惑をかけているかが理解できる。しかも、F1フランスGPは3連戦の初戦。これからチームスタッフの疲労は蓄積し、パーツの輸送のロジスティックの問題など、通常のインターバルのあるレースよりも大変な週となっている。同じルーキーのミック・シューマッハもマシンをクラッシュさせているが、最近は批判の多かったニキータ・マゼピンもスピンは喫するものの、壊すまでは行っていない。明らかにドライビングが困難なハースF1のマシンでだ。だが、冷酷で知られるレッドブルのジュニアプログラム。角田裕毅のアルファタウリのシートを狙うドライバーはたくさんいる。ホンダF1に忖度してか、レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコやアルファタウリの上層部は声高に角田裕毅を批判してはいない。「彼の信じられないほどのスピードに影響を与えることなく、彼の衝動的な性質を遅くしなければならない」とヘルムート・マルコは ServusTV に語った。「この種のことはイモラの後で終わるだろうと思ったが、彼が非常に頑固であることを証明している」とまだ冗談交じりに語っているが、そろそろ、それも限界に近付いているはずだ。結果を残さなければ生き残れない世界。そのプレッシャーもあるだろうが、結果を出せないばかりかチームに迷惑をかけている。まだ7戦しか終えていない段階だが、角田裕毅は本当に崖っぷちに立たされていると考えていいだろう。
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