2026年F1マシンとして登場したウィリアムズFW48は、そのフロント周りにおいて、かつてレッドブルが完成形へと昇華させた思想を色濃く感じさせるマシンとなっている。本来であればバルセロナでのプライベート・シェイクダウンに参加する予定だったウィリアムズだが、クラッシュテスト不合格の影響により走行を見送ることになった。そのFW48が、今週シルバーストンでようやく初走行を果たし、実車画像からその設計思想が明らかになりつつある。
フロントサスペンションに見えるRB19の面影デジタルレンダリング公開時、FW48には「サスペンションロッドが見えない」という違和感が指摘されていた。しかし、シルバーストンでの実走写真によって、その構成はより明確になった。ウィリアムズはフロントにプルロッド、リアにプッシュロッドというレイアウトを採用している。これは現行グリッドの多くが選ぶ前後プッシュロッド構成とは一線を画す選択だ。とりわけ注目されるのは、フロント上側ウィッシュボーンの強い傾斜角である。このジオメトリーは、2023年に圧倒的な支配力を誇ったレッドブルRB19を想起させるものだ。このレイアウトはブレーキング時のアンチダイブ特性を高め、フロントの過度な沈み込みを抑制する効果を持つ。RB19では、この特性が高速域での安定性とタイヤマネジメントに大きく寄与していた。21勝を挙げた史上最強クラスのマシンから着想を得るという判断は、極めて現実的な選択と言える。ウィリアムズは、2023年に圧倒的な強さを見せたレッドブルRB19と同様のフロントサスペンションを採用した。フロントウイングと保守的な外装設計FW48でさらに目を引くのがフロントウイングだ。下部形状にスコープ状のアーチを持ち、気流を巧みにシャシー下部から後方へと導く意図が読み取れる。一方で、それ以外の外装エアロは比較的オーソドックスな構成に留まっている。これは意外というよりも、むしろ現段階では合理的だ。バルセロナでの3日間の走行を失ったウィリアムズにとって、まず優先すべきは空力の奇抜さではなく、データ収集と信頼性確認だからだ。焦点は走行距離と相関確認2月にはバーレーン・インターナショナル・サーキットで2回のプレシーズンテストが控えている。FW48はそこで初めて本格的な走行距離を重ね、空力とメルセデス製2026年パワーユニットとの相関確認が進められることになる。現時点のFW48は、完成形というよりも“検証用ベースパッケージ”に近い存在だ。それでも、そのフロントサスペンションに見えるレッドブル的思想は、ウィリアムズが2026年レギュレーション時代をどう戦おうとしているのかを雄弁に物語っている。派手さはないが、狙いは明確だ。FW48は、過去の成功例を冷静に分析し、そのエッセンスを自らのマシンに落とし込むという、極めて現実的な一歩を踏み出している。