ウィリアムズF1チームは、先週末のF1マイアミGPで内部の混乱に見舞われた。カルロス・サインツJr.が、アレックス・アルボンによるチームオーダー無視と受け取れる行動に強い不満を示したためだ。サインツは11周目にアルボンにオーバーテイクされた際、チームから「ポジション維持」の指示が出ていたと信じており、順位を譲る形となったこの出来事に強く反発した。結局、サインツは9位でフィニッシュし、アルボンは5位入賞を果たした。
しかし、ウィリアムズF1のチーム代表ジェームス・ボウルズは、アルボンがチームの指示を無視したという見方を否定。今回の混乱は、チーム内の「伝達ミス」が原因だったと説明した。騒動が起きたのはレース中盤の11周目。アルボンはバックストレートでサインツを抜き去り、ターン11へ飛び込んだ。サインツはその直前まで「ポジション維持」というチームからの指示を受けていたため、完全に不意を突かれた形だった。レース後のクールダウンラップでは無線で「信頼を失った」と率直に吐露。さらにインタビューでは、「自分がバカみたいに見える」と苛立ちを隠さなかった。サインツのレースは、すでに1周目のアルボンとの接触でマシンのフロアにダメージを負い、ペースが著しく落ちていたという事情もあった。チーム側の説明と再発防止への誓いジェームス・ボウルズは、この一件について詳細に説明し、問題は「不明瞭な伝達」によるものであり、アルボンに非はないと強調した。「アレックスのマシンに冷却上の問題が発生しており、ラジエーターに空気を取り込む必要があった。そのため、両ドライバーのレースエンジニアに『一時的に距離を空けろ』という指示を出した」と語った。しかし、その意図はドライバーに正確に伝わらず、指示内容が曖昧だったことが混乱を招いた。「『オーバーテイクしてはいけない』のか、『スペースを作るだけでいい』のか、伝え方が曖昧だった」とボウルズは認める。実際、サインツには「アレックスは攻めてこない」と伝えられていた一方、アルボンには同様の指示が出たのは、すでにDRSを開いてサインツに並びかけた後だった。「アレックスに対する指示が伝わったのは、すでにオーバーテイクを始めていた段階だった」とボウルズは釈明した。今回の一件についてボウルズは、「これはチームとしての失態であり、今後はエンジニアやドライバーへの伝達方法を見直す必要がある」と述べた。「アレックスがチームオーダーを無視したのではなく、我々が伝えるべきタイミングと内容を誤った。それがすべてだ」「二度と同じことが起きないよう、必ず対策を講じる」と再発防止を誓った。また、ボウルズは戦略的背景についても補足し、仮に今回の“誤解”がなかったとしても、レース中に2台のポジションを入れ替える判断はなされた可能性が高いと明かした。「1周目の接触でカルロスのマシンには継続的なダメージがあり、ラップを重ねるごとにパフォーマンスが悪化していた。アレックスとの差は徐々にコンマ数秒に広がっていた」「だから、もしあのままレースが進んでいれば、いずれにしてもチームとしてアレックスを前に出す判断をしていただろう」とボウルズは説明した。その場合も、チームの決定に基づいた正規の順位交換であり、ドライバーの判断で行われたものではないと強調した。
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