フォルクスワーゲンは、WRC 第7戦 ラリーイタリア サルディニアでセバスチャン・オジェが今季5勝目を獲得。また、ヤリ・マティ・ラトバラは序盤パンクで出遅れたものの、驚異的な追い上げを見せて3 位表彰台を獲得しました。一方、アンドレアス・ミケルセンは最終日にコースアウト、残念ながらリタイアを喫した。2013 年6 月20 日(木)に開幕した「ラリーイタリア サルディニア」は、地中海に浮かぶイタリア領サルディニア島で開催されるグラベルラリー。
SSの路面は砂と小石に覆われ、さらに気温も高く、ドライバー、タイヤ、マシンにとって負担の大きな一戦となっている。今回のラリーは変則スケジュールで、実質2日間で行われた。グラベルラリーは路面を覆う土埃の影響により、出走順がタイムに影響する場合が多いため、事前に予選を行い、好成績を収めた選手から任意に出走順を選択できる予選方式が導入された。20日の午前中に行われた予選では、ラトバラがトップタイム、オジェが3番手、ミケルセンが8番手を獲得し、ラトバラは選択できる中で最も後方の出走順となる13番手、オジェは11番手、そしてミケルセンは6番手をそれぞれ選択した。翌6月21日(金)から本格的な競技がスタート。2009 年にこのラリーで優勝し、好結果が期待されたラトバラだったが、この日最初のSS1で「ポロR WRC」をパンクさせてしまい、SSトップタイムのオジェから1分56秒4 遅れの12 番手に後退した。しかし、その後は3度のトップタイムを含め上位タイムを連発し、初日を終えた段階で総合5番手まで挽回を見せた。一方のオジェも3度のトップタイムを獲得し、2位に45 秒の大差をつけて総合1位、ミケルセンは7番手前後の安定したペースを刻み総合6位と、全員が上位を目指し奮闘した。競技最終日となる22日(土)は、ボーナスポイントが加算される「パワーステージ」を含む8つのSSが設定された。首位のオジェはすでに2番手のライバルに大きな差をつけてたが、4つのSSでトップタイムを記録。そのうちのひとつは「パワーステージ」で、ボーナスポイント3点を加算した。オジェはそのまま「ポロR WRC」をゴールまで導き、今季4勝目を獲得した。怒濤の追い上げを見せるラトバラはSS11で3番手に浮上、ミケルセンも5番手に順位を上げた。ミケルセンはSS14で戦線を去ることになったが、ラトバラはSS15の「パワーステージ」で3番手を記録し、ボーナスポイント1点の獲得に成功。3位表彰台でラリーを終えた。フォルクスワーゲンは、今回のラリーで設定された16ヶ所のSS のうち11のSSでトップタイムを記録するなど、「ポロR WRC」の速さがあらためて世界に示した。この結果、ドライバーズ選手権ではセバスチャン・オジェが154点で首位、ヤリ・マティ・ラトバラが90点で2番手と、盤石の体制を築いている。マニュファクチャラーズ選手権においてもフォルクスワーゲン・モータースポーツは220点で首位を快走。最高の結果で参戦初年度の前半戦を終えることとなった。次戦は7月31 日(木)にスタートする第8 戦「ラリーフィンランド」。森と湖の国、北欧フィンランドを舞台としたグラベルラリーで、非常に高速なことで知られいる。かつては1000 湖ラリーと呼ばれ、森林の中を駆け抜けるコースに大きなジャンピングスポットが点在する難易度の高いラリー。ヤリ・マティ・ラトバラは2010 年に優勝しており、母国ラリーに向けて大きな期待がかかる。ヨースト カピート (フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター)「最高の結果だと思います。ラリーイタリア サルディニアは、フォルクスワーゲンにとって華々しい成功であると共に、初参戦となる今シーズンにおいて画期的な出来事として記録されるでしょう。前半7 戦で5 勝を挙げるという、願ってもない大きな戦果を得ることができました。オジェ選手とラトバラ選手の実力は言うにおよばず、ミケルセン選手も光る走りを見せてくれています。私は彼らのことを誇りに思います。7 月下旬の次戦ラリーフィンランドも非常に楽しみです」セバスチャン・オジェ (総合優勝)「また表彰台に戻ってくることができて非常にうれしいです。ここ数戦あまり調子が良いとは言えなかったので、単純にうれしさでいっぱいです。チームは素晴らしい仕事をしてくれましたし、ポロR WRC は、私の思い描いた通りにラリーを走り切ってくれました。このラリーは気温が高く、車内の温度は45 度にもなります。ドライバーをケアしてくれた我々のフィジオセラピーチームにも感謝したいと思います。同時にタイヤに厳しいラリーでもあるので、タイヤにやさしいドライビングができたことも勝因のひとつと言えるでしょう。パワーステージでのボーナスポイントも、2 番手に僅差ながら最高点を獲得でき、ドライバーズ選手権でも大きなリードを築くことができたと思います」ヤリ・マティ・ラトバラ (総合3位)「3 位という成績は素晴らしいと思いますが、本来はもっといい成績がとれたはずなので残念です。初日のパンクはほかならぬ私自身のミスで、レッキ(事前試走)に注意箇所を記しておくべきでした。そのパンクで約2 分を失ってしまいましたが、追われる重圧を感じることなく、12 位から3 位まで順位を挽回することができました。ラリーを通じて我々は速さを見せることができたと思います。今回の結果で、私のホームラリーとなる第8 戦フィンランドに向けた自信がつきました」アンドレアス・ミケルセン (リタイア)「いいパフォーマンスを見せることができていただけに、5 位走行中のリタイアという結果には非常にがっかりしています。前を行くライバルに約12 秒差と迫っていましたが、ブレーキのタイミングが少し遅れ、木に接触したことで前輪のサスペンションを傷めてしまいました。せっかくの誕生日なのに残念な結果となりましたが、今回のラリーで経験したことを教訓に、次戦に臨みたいと思います」