フォルクスワーゲンは、アメリカ合衆国での排ガス規制逃れ問題を受けてマルティン・ウィンターコーン最高経営責任者(CEO)が辞任することを発表した。アメリカ合衆国環境保護局は、フォルクスワーゲンが2008年から今年にかけてアメリカで販売したディーゼル車およそ50万台にフォルクスワーゲンが排ガス基準をクリアするために不正を行っていた疑いがあると発表。
報道によると、エンジン制御ECUのソフトトウエアの中に“defeat device”プログラムを挿入し、アメリカ合衆国環境保護局の排ガス試験の際にこのプログラムが稼働し、NOx(窒素酸化物)を無効化して試験をクリアしていたという。アメリカ合衆国環境保護局は、該当車は実際には排出ガス基準の40倍のNOxを排出していたと説明している。フォルクスワーゲンは調査の結果、世界でおよそ1100万台にその不正なソフトが搭載されていたことを認め、ソフトウエアを搭載している車両の改修などの費用としておよそ65億ユーロ(約8700億円)を計上するとしている。アメリカ合衆国環境保護局は、調査の結果によってはフォルクスワーゲンに最大でおよそ180億ドル、日本円で2兆1600億円に上る制裁金を科すとしており、フォルクスワーゲンの経営が大きな痛手を受ける可能性が出ている。マルティン・ウィンターコーン氏は「フォルクスワーゲンには心機一転で再出発が必要」とし、自ら退くと述べた。最近、フォルクスワーゲン・グループがF1に参戦するとの噂が広まっていた。ルノーとの関係が悪化しているレッドブルF1チームを買収し、アウディのブランドで2018年からF1に参戦。レッドブルがスポンサーを務めるというシナリオが報じられていた。しかし、今回の一連の騒動でフォルクスワーゲンの株価は急落。経営自体が危機にさらされており、F1参戦など言ってられない状況になった。
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