セバスチャン・ベッテルが、2025年シーズン途中に発表されたレッドブル・レーシングのチーム代表交代劇について言及した。7月にチームはクリスチャン・ホーナーとの袂を分かち、後任としてローラン・メキースを即時起用している。ホーナーは2005年のチーム設立当初から在籍し、2010年に世界タイトルを獲得して以降、レッドブルの黄金期を率いてきた人物だ。ベッテル自身もそのホーナー体制下で4連覇を達成し、2015年にフェラーリへ移籍している。
2025年のF1サンパウロGPを訪れたベッテルは、古巣のリーダー交代についてSky Sportsにこう語った。「驚いたよ。クリスチャンはチーム創設の最初からずっといたし、チームの内情を隅々まで理解している人物だからね」「今シーズンに関しては、すべてが整っていたと思う。ローラン(メキース)のことも知っているし、彼とは一緒に働いたこともある。彼は本当に素晴らしい人間だと思う」「ただ、クリスチャンが残した足跡は大きい。成功の実績だけでなく、チームの中心的存在として、すべてを把握していた人だったからね」「今の組織構造や将来の計画について、僕はすべてを把握しているわけではないけど、どう展開していくのか見守る価値はあると思う」F1復帰の可能性について2022年シーズンを最後に現役を退いたベッテルは、その後もF1復帰の噂が絶えない。特に最近では、ヘルムート・マルコの後任としてレッドブルにアドバイザー的な立場で戻るのではないかと報じられていた。この件について問われたベッテルは次のように答えた。「どうだろうね。そういう話がいろいろ出ていたけど、実際のところ何も進展はなかった。ヘルムートと少し話したけど、どこにも繋がらなかったんだ」「今の僕は人生にとても満足している。F1は大好きだし、最初は距離を置きたくて観るのをやめようと思っていたけど、結局いまもレースを観ているよ。スポーツを愛しているし、関係者ともつながっている」「もし将来的に、正しい機会や役割、視点が見つかるなら、またステップアップして関わることもあるかもしれない。でも、それは時が教えてくれると思う」ベッテルの発言が示す「変化の時代」ベッテルの言葉からは、レッドブルの体制変更がF1界に与えた衝撃の大きさがうかがえる。ホーナーが去り、ローラン・メキースが率いる新体制が本格的に動き出す中、かつての王者もその行方を静かに見守っている。一方でベッテル自身は、現役引退後もF1への愛情を失っておらず、将来的な復帰に完全に線を引いたわけではない。マルコ後任やチーム運営のサポートなど、彼が再びレッドブルと関わる可能性はゼロではない。ベッテルが語る「待ってみよう」という言葉は、レッドブルだけでなく、変化の波が押し寄せるF1全体を象徴しているようでもある。