レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、2025年F1メキシコGPで見せたマックス・フェルスタッペンの怒涛の追い上げに賛辞を送った。彼はフェルスタッペンを「ハウンドドッグ(猟犬)のようだった」と形容している。フェルスタッペンは、オートドロモ・エルマノス・ロドリゲスでの決勝を5番グリッドからスタート。第1コーナーでは首位争いに加わったが、コース外へ押し出されて芝生を横切る形で再合流し、4番手に順位を落とした。
その後ルイス・ハミルトンとのバトルで3番手を奪取したものの、ハミルトンがコース外での追い越しにより10秒ペナルティを受けたため、結果的にフェルスタッペンが前を走ることになった。中盤のミディアムタイヤでは苦戦したが、1回のピットストップでソフトタイヤに履き替えると本領を発揮。20秒以上離れていたシャルル・ルクレールを猛追し、驚異的なペースで差を縮めた。最終的にカルロス・サインツ(ウィリアムズ)のストップにより導入されたバーチャルセーフティカー(VSC)が、2位奪取のチャンスを奪う形となった。それでもレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼは、無線でフェルスタッペンの終盤の走りを「インサン(狂気的)」と称賛した。マルコはレッドブルが2位表彰台を「十分に射程圏内」と見ていたと明かし、次のように語った。「マックスは信じられないほどの追い上げレースを見せた。平均して1周あたり5〜6コンマ(0.5〜0.6秒)速く、我々は100%の確信を持って2位に届くと信じていた。だがカルロス・サインツがフェラーリへの“最後の贈り物”をしてしまったんだ」とマルコは独Skyに語った。フェルスタッペンはオスカー・ピアストリの前でフィニッシュし、ドライバーズランキングでは首位ランド・ノリスとの差を36ポイントに縮めている。マルコは、チームとしてフェルスタッペンのレースペースの強さを把握していたと強調した。「我々は知っていた。マックスはハウンドドッグのような男だ。レースペースが上がり、彼が完全に集中状態に入れば、すべてを忘れて全力で走り抜ける」とマルコは付け加えた。分析:VSCがなければ2位表彰台も現実的だったフェルスタッペンの走りメキシコGPでのフェルスタッペンは、序盤の接触と芝生走行によるポジションダウンを経ても、冷静かつ攻撃的な走りで順位を取り戻した。ミディアムタイヤではややペースに苦しんだが、ソフトタイヤに交換して以降のラップタイムは全ドライバー中でも際立っており、ルクレールとの差を1周あたり0.5〜0.6秒ずつ削っていった。終盤、サインツのVSCがなければ2位奪取も十分に可能だったと見られ、実際マルコもそのポテンシャルを認めている。タイトル争いではノリスとピアストリのマクラーレン勢が依然優位だが、フェルスタッペンは確実に差を縮めつつあり、残り3戦に向けてレッドブルの反撃は続く。
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