マックス・フェルスタッペンはイタリアGPでの勝利からわずか1週間後、再びステアリングを握る。ただし、F1レースではない。レッドブルのエースは、アイフェル山地で長年の夢を叶える──ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)への公式参戦だ。ヘルムート・マルコはイタリアで「マックスはF1に集中していてGTについては話さなかった」と述べていた。
しかし今週末、ニュルブルクリンク北コースではNLS第7戦「ADAC-ACAS Cup」と第8戦「第64回ADACラインオルドゥス耐久レース」が土曜・日曜にそれぞれ開催され(各4時間)、フェルスタッペンは参戦を計画している。マルコは英オートスポーツ誌の取材に対し、フェルスタッペンの参戦を認めた。オランダ人ドライバーはレッドブルから契約上の承認を得ているが、実際に参戦するにはまだ「必要な手続きを完了する」必要がある。NLSに出場するには、ドイツモータースポーツ連盟(DMSB)からの公式ライセンスが必要だ。いわゆる「DMSBノルトシュライフェ許可証(DPN)」を得るため、フェルスタッペンは金曜に講習を受けることになる。元メルセデス・モータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグは最近、英オートスポーツ誌にこう語った。「マックス・フェルスタッペンがニュルブルクリンクを走るのに許可証を証明しなければならないのは馬鹿げている。世界タイトルを4つ獲得したら、この要件を免除するルールを導入すべきだ」ハウグは、2024年にMotoGPスターのバレンティーノ・ロッシがニュルブルクリンク24時間レースへの参戦を計画したものの、DMSBが厳格な許可規定の例外を認めず最終的に撤退した件を念頭に置いていたのだろう。国際ライセンスを持つフェルスタッペンにとっては、DMSBアカデミーの講習を受けて試験をクリアすれば十分だ。合格すれば入門レベルの「B許可証」を取得でき、Bカテゴリのマシンで出走可能になる。独誌「auto motor und sport」によれば、それはライオンスピード・チームが走らせるポルシェ・ケイマンGT4 CSになる見込みだ。友人のクリス・ルルハムやティエリー・フェルメーレンも同じ手順で「ノルトシュライフェライセンス」を得ている。さらに「A許可証」を得るには、DMSB規定で「少なくとも2回の完走リザルト」と「合計14周以上のレース走行」が必要とされている。理論上は、日曜も同じケイマンGT4 CSで出走しなければトップクラスに出られない。しかし土曜のレースで十分な実績を積めば、日曜にはスイスのエミル・フレイ・レーシングのフェラーリ296 GT3で出走できる可能性がある。これが本来の目標だ。DMSBのライセンス規定には「個別事例の審査」という仕組みがあり、適用される可能性があるからだ。フェルスタッペンのようなFIAプラチナ格付けのドライバーには「ダブルエントリーの認定」が認められることもある。つまり、同じレースで2台に出走すれば、それだけでA許可証取得条件を満たすことがあり得る。確実なのは、フェルスタッペンのマシンにはレッドブルのロゴが入ることだ。ただし費用はレッドブル・レーシングではなく、フシュルのレッドブルGmbHが負担する。こうしたF1以外のレース参戦の自由こそが、フェルスタッペンがレッドブルに残留する決断を下すうえで後押しとなった。マルコも負傷のリスクを心配していない。むしろ彼はポジティブな要素を見出している。「我々のF1マシンがうまく走らなかった時期に、彼は大きな熱意を持ってそこに臨んでいた。それは彼の心身の健全さにとって大切な気晴らしだった」と、フェルスタッペンの大舞台デビューを前にオーストリア人は語った。今回の参戦で、5月にフェルスタッペンが非公式ラップレコードを記録した際に議論となったBoP(性能調整)問題もついに終止符が打たれるかもしれない。本物のNLSベテランたちと真剣勝負をすれば、全員が同じルールに従うからだ。さらに、フェルスタッペンは「フランツ・ヘルマン」といった偽名では参戦しない。公式戦ではライセンス規定上、本名で出場しなければならないのだ。