Appleが、2026年からのF1アメリカ国内における放映権獲得を目指し入札を検討していることが明らかになった。これは、同社が製作した映画『F1/エフワン』の大ヒットを受けた動きとされている。Apple Original Filmsが手がけ、ブラッド・ピット主演で現代F1を描いた『F1/エフワン』は、先月末の公開からわずか2週間で興行収入3億ドル(約440億円)を突破。Appleにとって過去最大の映画ヒット作となった。
英Financial Timesによれば、Appleはこの成功を受けてF1との関係強化に動き出しており、2026年以降のアメリカ国内におけるF1放映権の獲得を目指しているという。現在のアメリカでのF1放映権は、ディズニー傘下のESPNが2018年から保持しており、年間約8,500万ドル(約136億円)を支払っている。ESPNには独占交渉期間が設けられていたが、すでに期限が切れたため、Appleのような競合企業にも入札の機会が開かれている。AppleはすでにF1側と交渉を開始しているが、現時点で契約は成立しておらず、ESPNも引き続き権利維持を目指している。Appleが放映権を獲得した場合、F1のレースは同社の配信サービス「Apple TV+」で視聴可能になる見通しだ。同社は近年スポーツ配信への注力を強めており、2023年から10年間で25億ドル規模の契約を結び、メジャーリーグサッカー(MLS)の独占配信を実施。また、金曜夜の一部メジャーリーグベースボール(MLB)試合も配信している。Citiによる試算では、F1のアメリカ放映権料は年間1億2,100万ドル(約194億円)にまで跳ね上がる可能性があり、これはESPNの現契約から約50%の増額となる。F1はリバティ・メディアによる買収以降、アメリカ国内での人気を着実に拡大しており、1レースあたりの平均視聴者数は2018年の55.4万人から2023年には110万人に倍増。2025年シーズン前半10戦では平均130万人に達し、複数のレースで過去最高を更新している。