2025年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦サンパウロ6時間の決勝が、7月13日(日)にブラジルのインテルラゴス・サーキットで行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のGR010 HYBRIDは、7号車が14位、8号車が15位でレースを終えた。昨年この地で圧倒的な勝利を収めた世界チャンピオンチームとして大会に臨んだTGRだったが、レースウィーク初日から厳しい状況が続き、決勝も苦戦が予想されていた。
決勝ではチームの懸命な作業とドライバーの奮闘、安定したピットストップによって善戦したものの、上位勢とのパフォーマンスと速度の差は大きく、GR010 HYBRIDの2台はいずれもトップ10圏外でのフィニッシュとなった。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースがドライブした7号車は14位でチェッカーを受けた。一方、セバスチャン・ブエミが他カテゴリー参戦のため欠場し、ブレンドン・ハートレーと平川亮の2人で臨んだ8号車は15位での完走となった。この結果、TGRは今大会でポイントを獲得できず、2018年のシルバーストーン6時間レース以来続いていた決勝レースでの44戦連続ポイント獲得記録が途切れることになった。決勝レースは快晴のもと現地時間午前11時半にスタートし、8号車はハートレーが10番手グリッド、7号車はコンウェイが18番手グリッドから発進した。ミディアムタイヤとハードタイヤを使い分けながら序盤は健闘し、いくつかポジションを上げる場面も見られたが、スティントが進むにつれてペース不足が顕在化。1時間経過時点の最初のピットストップでは、両車ともにトップ10圏外の走行を強いられていた。その後、2台のGR010 HYBRIDはタイヤ無交換で安定したペースを刻み、2時間経過時にはトップ10圏内を視野に入れられる位置まで浮上。このタイミングで最初のドライバーチェンジを実施し、7号車はデ・フリース、8号車は平川へと交代。新たにミディアムタイヤを装着し、諦めることなくプッシュを続け、レースの中盤には両車ともに自己ベストラップを更新するなど、巻き返しを狙った。しかし挑戦は困難を極め、5時間経過時点でアストンマーティンの009号車を攻略したものの、トップ10入りは叶わなかった。終盤、7号車は小林、8号車はハートレーに交代し、さらなる追い上げを試みたが、メインストレート上空に凧が飛来するという予想外のアクシデントにより、レースは一時中断された。5時間を過ぎて最終ピットストップを終えると、7号車は小林が、8号車は平川がそれぞれステアリングを握り、日没が近づくころには両車とも数秒差で14位・15位を走行。そのままの順位で、トップのキャデラックから3周遅れでチェッカーフラッグを受けた。WECはここで夏休みに入り、次戦は9月7日(日)にアメリカ・テキサス州のCOTAで開催される第6戦となる。TGRはこの厳しいサンパウロ戦で得たデータを綿密に分析し、パフォーマンス回復に向けて準備を進めていく方針だ。小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)14位、15位という結果と今日のパフォーマンスは、まったく期待していたものではなく、本当に残念です。我々はパフォーマンスを最大限に引き出すべく努力をしてきましたが、ライバルとの差があまりに大きかったことは明らかでした。ストレートでのスピードが全く足りず、バトルを繰り広げることもできませんでした。この結果を分析し、状況を改善するための努力を続ければ、次戦では必ず強くなって戻れると確信しています。ポジティブな面では、AKKODIS ASPチームがRC F LMGT3でLMGT3クラスの優勝を果たしたことに大いに祝福を送りたいです。彼らがポディウムの中央に立っている姿を見ることができてとても嬉しいです。本当に今日のこの勝利に値するチームです。マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)かなり厳しい一日でした。ライバルと戦える状況ではありませんでしたが、できる限りのことはしました。しかし結局、2台共に後方で走り続けることになってしまいました。とにかく、この経験を無駄にせず、次戦オースティンまでに解決策を見出し、より良いパフォーマンスを発揮できることを期待しています。ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)昨年とは全く異なるレースとなってしまいました。もちろん、このような結果には全く満足していません。チームの誰もが上位争いを望んでいましたが、今日はそれが叶いませんでした。しかし、我々は強いチームであり、夏の間も努力を続けて、さらに良い状態で戻って来ます。ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)困難な一日で、望んでいた結果にはなりませんでした。2台共に純粋なペースでトップ10に入れなかったのは残念です。次戦では再び勝利を争えることを期待していますし、そのためにチーム全員が頑張っていることも知っています。平川亮(8号車 ドライバー)非常にタフなレースでした。パッケージの最適化を進めたことで、いくつか満足できる点もありましたが、結果には誰も満足しておらず、チームにとって厳しい一日でした。今シーズンは厳しいレースが続いていますが、オースティンや富士ではもっと良い結果を期待しています。チームは本当に頑張ってくれていますし、一刻も早く成果が得られることを願っています。WEC第5戦 サンパウロ6時間 決勝結果1位 No.12アレックス・リン/ノルマン・ナト/ウィル・スティーブンスキャデラック・ハーツ・チームJOTA/キャデラック V-Series.R242周(優勝)2位 No.38アール・バンバー/セバスチャン・ブルデー/ジェンソン・バトンキャデラック・ハーツ・チームJOTA/キャデラック V-Series.R242周(+57.016秒)3位 No.5ジュリアン・アンドラウアー/ミカエル・クリステンセンポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ポルシェ 963242周(+58.882秒)4位 No.6ケビン・エストレ/ローレンス・バンスールポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ポルシェ 963241周(+1周)5位 No.20レネ・ラスト/ロビン・フラインス/シェルドン・ファン・デル・リンデBMW M TEAM WRT/BMW M Hybrid V8241周(+1周)14位 No.7マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリースTOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID239周(+3周)15位 No.8ブレンドン・ハートレー/平川亮TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID239周(+3周)