6月15日(水)、第84回ル・マン24時間レースへ向けた走行が開始され、公式練習走行と予選第1回目が行われた。TOYOTA GAZOO Racingは概ね順調な一日を過ごし、2台のTS050 HYBRIDは予選1回目に暫定3,4番手となった。 午後4時から4時間にわたって行われた公式練習走行では、セッション中、降雨に見舞われ、変化する路面コンディションにおいて様々なタイプのタイヤについて有意義なデータを収集。決勝レースへの準備として主に空力とサスペンションのセットアップの微調整に作業を費やした。
順調に進行した公式練習走行であったが、終盤、#6号車のサラザンがバリアに接触したことで早めに終了することとなってしまった。このアクシデントにより車体前部にダメージを負ったが、ピットクルーのハードワークにより、2時間後の予選開始までには修復され、無事に予選1回目を迎えることが出来た。 夜の帳に包まれた始めた午後10時から2時間の予選1回目は、雨に見舞われることも無くドライコンディションで行われた。1周13.629kmのサルト・サーキットを60台もの車両が同時にグリッドを争って走行するセッションでは、常にコース上は車両で混雑する状況だった。 しかし、TS050 HYBRIDはその高いポテンシャルを示し、トヨタが2012年にル・マンに復帰して以来の最速タイムを刻み、 #6号車が予選セッション開始早々にサラザンのタイムアタックで暫定3番手タイムをマーク。#5号車が4番手でこれに続いた。 6月5日(日)に行われたテストデーでは、TS050 HYBRIDは2015年に比べて進歩を示したが、予選1回目でも、昨年に比べ燃料消費量が約10%削減されたにもかかわらず、昨年の予選ベストタイムよりも2.806秒速いタイムであった。 予選は明日16日(木)も2回目、3回目が各々2時間ずつ(午後7時と午後10時)行われ、決勝レースのスターティンググリッドは、3回の予選における1周の最速タイムで決定される。 TS050 HYBRID #5号車:(中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)公式練習:5番手 (3分24秒031), 40周予選第1回目:4番手 (3分21秒903), 27周 TS050 HYBRID #6号車:(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)公式練習:4番手 (3分23秒158), 42周予選第1回目:3番手 (3分20秒737), 30周 中嶋一貴: どちらのセッションも順調だったと思います。昼間の公式練習走行ではロングランで良いペースを刻むことが出来ました。夜の予選ではコース上の混雑が酷く、タイムだけでは判断が難しいセッションでした。今日得られた全てのデータを分析し、改良出来る点を見出したいと思っていますが、全体的には今回のTS050 HYBRIDの状態には満足しています。 アンソニー・デビッドソン: 今回のTS050 HYBRIDはとても力強く感じられました。予選でのアタックはクリアラップが取れなかったので、理想のタイムではありませんでした。しかし重要なのは決勝です。今回持ち込んだ2種類のタイヤコンパウンドのどちらでも車両のバランスは良く、決勝レースはとても期待が持てると思います。 セバスチャン・ブエミ: 昨年よりもとても良い状況です。充分な準備を整えることが出来、今日の内容には満足しています。ただ、セットアップの改良には限界がなく、決勝レースを力強く戦えるよう更に明日もハードワークを続けたいと思います。 小林可夢偉: チームの懸命な努力のおかげで車両はずっと改善されました。今日収集出来た多くのデータは、決勝レースへ向けて役に立ってくれるはずです。私自身は非常に混雑していた夜のセッションでロングランを担当しましたが、今日一日の内容にはとても満足しています。 ステファン・サラザン: 公式練習中の私のミスもあって、夜の予選セッションはどうなるかと思いましたが、素晴らしい作業で予選までにTS050 HYBRIDを修復してくれたメカニックに本当に感謝しています。タイムをロスすることなくアタック出来たのは彼らのおかげです。決勝レースへ向け、TS050 HYBRIDの仕上がりはとても順調と言えます。まだ微調整の余地はあるかも知れませんが、それも僅かと言っていいと思います。 マイク・コンウェイ: ステファンがクリアラップで好タイムをマークし、トップ3に入れたことは嬉しく思います。TS050 HYBRIDのバランスは良く、順調だと感じています。とはいえまだ細かいところで修正すべき箇所も残っています。ベストな決勝レースでのセットアップを見出すべく、明日木曜日の走行セッションを最大限に活かしたいと思っています。
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