TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、6月14日~15日に開催されるFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間に向け、6月8日に実施された公式テストデーに参加した。チームは6度目のル・マン制覇を目指し、8号車がこの日の最速タイムを記録する好発進を見せた。今年のル・マン24時間には全クラス合わせて62台がエントリー。トヨタは、参戦40周年を記念した特別カラーリングを施した2025年仕様の2台のGR010 HYBRIDで臨んだ。
8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)は、午後のセッションで3分26秒246を記録し、この日のトップに立った。一方、1998年のGT-One(TS020)に敬意を表した伝説的カラーをまとった7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース)は、2回目セッションで14番手タイムの3分28秒385にとどまった。チームは数日前から現地入りし、スパ・フランコルシャンでのシェイクダウンテスト直後にル・マン入り。ピットやパドックの設営を進めた。7日にはル・マン市内での公開車検に参加し、小林のドライブによるパレードランも行われた。テスト当日は、午前10時から3時間のセッションがスタート。気温は15度と肌寒く、一部に公道を使用する13.626kmのサルト・サーキットの特性により、走行を重ねるごとに路面状況は変化した。午前中のセッションでは開始から1時間の時点で40分間のセーフティカー走行が入ったが、チームはソフト/ミディアムタイヤの比較やサスペンションの評価など多岐にわたるプログラムを順調に消化した。午後のセッションでは気温が20度に上昇し、タイムも大幅に改善。しかし赤旗中断が3度発生し、最終的に予定より早く終了した。GR010 HYBRID 8号車では、ブエミがパンクに見舞われるトラブルがあったものの、スローダウンしてピットへ戻ることで大事には至らなかった。テストデー終了後の9日と10日は走行セッションは行われないが、チームは整備やデータ分析に集中する予定。11日にはフリープラクティスと予選が控えており、チームは車両バランスやタイヤの最適化など、週末の本番に向けて準備を進めていく。以下はテストデーでの主な結果。テストデー1回目結果(上位抜粋)1位 No.83 AFコルセ/フェラーリ 499P 3:27.0102位 No.8 TOYOTA GR010 HYBRID 3:28.0003位 No.38 キャデラック V-Series.R(JOTA) 3:28.4919位 No.7 TOYOTA GR010 HYBRID 3:29.277テストデー2回目結果(上位抜粋)1位 No.8 TOYOTA GR010 HYBRID 3:26.2462位 No.51 フェラーリ 499P(AFコルセ) 3:26.7773位 No.83 フェラーリ 499P(AFコルセ) 3:26.90214位 No.7 TOYOTA GR010 HYBRID 3:28.385TGRは順調なスタートを切ったが、8つのメーカーが参戦するハイパーカークラスの競争は激しく、決勝に向けての課題も残されている。次なる走行セッションは11日、ル・マン・ウィーク本番がいよいよ幕を開ける。小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)このコースに戻ってくることができ、嬉しい気持ちです。我々のクルマはル・マンを目指した作りで、他のコースを走るのとは違った印象があります。ル・マンはシーズンでのハイライトであり、ラップタイムにかかわらず、ここで走ることをいつも楽しんでいます。今日の2度のテスト走行はとても順調で、決勝レースへ向けた準備を進めることができました。まだいくつかやることや改善点はありますが、この時点では通常のことです。今のところ順調で楽しめています。マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)再びル・マンのコースに戻れて最高です。昨年は走れなかったので、なおさら嬉しいです。ここは高速で、楽しく、いくつもの良い思い出があります。再びこのコースのリズムを掴み、ポジティブなスタートが切れたと思います。今日は多くのことを試しましたが、まだいくつかの点でやるべきことが残っています。クルマの感触はテストの最後には良くなりましたが、100%我々が望むレベルにはまだ達していないので、さらにプッシュを続けます。ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)とても大変な一日でした。クルマのバランスを適切に調整するために多くの作業が必要でした。週末に向けたクルマの改善点を見つけるため、今日行ったすべてのことを分析しなければなりません。2回目のセッション終盤で赤旗による中断があったため、全プログラムをこなせなかったことは少し残念ですが、これは全チームに共通することです。改善すべき点は明確なので、レースで力強く戦えるよう全力で取り組んでいきます。セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)このコースに戻ってくるのはいつも楽しみですし、ここでハイパーカーをドライブすることが本当に嬉しいです。もちろんベストタイムをマークできたことは嬉しいですが、速いライバルがたくさんいます。我々は多くの周回をこなし、いい変更もあれば、そうでないのもありましたが、それもプロセスの一部です。すべてを分析し、改善点を見つけていきます。週末の気象条件が少し異なる可能性があるため、それに適応する準備も必要です。ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)GR010 HYBRIDで再びル・マンを走ることができて、とても嬉しいです。今日は大きな問題もなく、成功裏に終わり、ポジティブな一日だったと思います。クルマの感触も良かったですし、亮とセブも同じように感じていると思います。競争は明らかに激しく、ロングランでは我々が最速のクルマとは言えませんが、戦える位置にはいると思います。週末に向けてさらにやるべきことがありますが、これからの数日間でしっかり睡眠を取り、充電して、大きな仕事へ向けて備えたいと思います。平川亮(8号車 ドライバー)これまでのところは順調で、満足しています。予想通りとても忙しい一日でしたが、多くのテスト項目をこなし、スローゾーンやフルコースイエロー、赤旗といろいろ経験できました。今日の目標は達成できたので、良い一日だったと思います。この時点でのタイムは参考にはならないとはいえ、最速タイムをマークできるのはいつでも嬉しいことです。クルマの感触はとても良いですが、まだやるべきことや改善できる点が多く、さらに良い結果が期待できます。明日からの2日間でデータを分析し、週末に向けて最善の状態で臨めるよう準備します。