FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦スパ・フランコルシャン6時間の予選が4月28日(金)ベルギーで行われ、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)のGR010 HYBRID 7号車を駆る小林可夢偉がポールポジションを獲得した。 今季開幕戦のセブリングと第2戦ポルティマオを制しているトヨタは、6月に待ち受けるル・マン24時間100周年記念大会を前にした最後のレースとなる今大会スパ6時間で、開幕3連勝を目指す。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブするGR010 HYBRID 7号車は、小林が予選アタックを担当し、2分00秒812のタイムでポールポジションを獲得、貴重な選手権ポイントも加えた。小林のタイムは、2番手のフェラーリ50号車に対し、0.024秒という僅差だった。明暗を分ける形となったセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、ハートレーがアタックを担当したが、スタート後すぐにタイヤバリアへとヒット。ハートレーは無事だったが、8号車は予選ノータイムとなり、決勝レースはハイパーカークラスの最後尾、13番手グリッドからスタートすることとなった。ハイパーカークラスの予選は、直前に行われた他クラスでのアクシデントにより、予定より10分遅れの現地時間午後6時に開始された。今季最多となる13台のハイパーカーが、高低差が激しく、ハイスピードなスパを舞台にポールポジションを目指し、激戦を繰り広げた。セッションが始まってまもなく、8号車のハートレーは低速で慎重に走り始めたが、ピットロード出口から数百メートル走ったところでタイヤのグリップを失い、オー・ルージュを駆け上った先のラディオンコーナーでコースオフし、タイヤバリアにヒット。今季よりタイヤウォーマーであらかじめタイヤを暖めておくことが禁止となったこと、また、低い路面温度の影響も重なってタイヤグリップが非常に低い状況となり、コースオフを喫してしまった。この日、予選前の午後早い時間に行われた公式練習3回目は、降雨によるウェットコンディションから、徐々に乾いていく状況下で行われ、このセッションでは小林のマークしたタイムで7号車がトップにつけ、その勢いのまま、今季最も熱い争いとなったハイパーカークラスの予選へと挑んだ。予選アタックでコースインした7号車の小林は、タイヤの温度が十分に暖まると、アタック3周目でその時点でのトップタイムをマーク。ポールポジションには充分なタイムだと判断した小林は、ピットへ戻ったが、その後、アタックを続けていたフェラーリ51号車がチェッカー直前に僅か0.035秒ながら小林のタイムを更新した。しかし、セッション終了後、フェラーリ51号車のタイムはコース外走行のペナルティにより抹消され、7号車の正式なポールポジション獲得が決定された。ハイパーカーのポールポジション争いは非常に接近したものとなり、3つのマニュファクチャラーが分け合ったトップ4のタイム差は、僅か0.231秒だった。更なる接近戦が予想される決勝は、29日(土)現地時間午後12時45分(日本時間午後7時45分)、大観衆の見守る前で6時間レースのスタートが切られる。小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)フェラーリにタイムを更新されたと思っていたので、最終的にポールポジションとなって少し驚いていますが、ポールを獲得できたのはとても嬉しいです。チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、我々のGR010 HYBRIDは最高の仕上がりでした。個人的に、練習走行では新品タイヤでの走行ができず、予選でいきなりのアタックだったので、準備万端だったというわけではありませんでした。私が最初のアタックラップに入ろうとしたところでフェラーリのスピンがあり、一旦仕切り直しになってしまったので、タイヤはベストコンディションではなかったですが、その後のアタックラップでは、幸運にも他の車両に引っかかることもなく、良いアタックでポールポジションには充分なタイムを出せた手応えがありました。フェラーリとの僅差のポール争いとなりましたが、我々は最終的にポールポジションを獲得し、決勝レースは最高の位置からスタートできます。明日もとても激しい戦いになると思いますが、トップを守りきりたいと思います。ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)本当に残念です。ピットを出た直後でタイヤが冷えており、オー・ルージュ頂上の第3コーナーで壁に当たってしまいました。壁へ当たった時の衝撃は大して大きくはなかったですが、タイムを出す前に予選を終えることになり、決勝レースは最後尾グリッドと、厳しいポジションからスタートすることになってしまいました。明日は全力で追い上げるつもりですが、戦いは厳しくなるでしょう。7号車のポールポジション獲得は素晴らしいですし、祝福します。
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