6月8日(水)、フランス・ル・マンのサルト・サーキットで、FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦 第90回ル・マン24時間レースの公式走行セッションが開始された。初日は2回の練習走行と翌日の「ハイパーポール」進出をかけた予選が行われ、TOYOTA GAZOO RacingのGR010 HYBRIDは7号車が暫定ポールを獲得した。
2021年のル・マンウィナーである小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスのGR010 HYBRID 7号車は、予選セッションで小林可夢偉がマークした3分27秒247がこの日のトップタイム。セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の8号車は、予選は不満の残る結果となってしまったが、この日の総合タイムでは4番手につけている。 7日(火)、コースでの走行セッション開始に先立ち、チームごとのピット作業時間を競い合うピットストップチャレンジが実施され、8号車のクルーが見事優勝。4人のピットクルーがル・マン24時間レースで公式に使用される表彰台に上がった。 そして、8日(水)には、いよいよ公道区間を含めたサルト・サーキットフルコースでの走行が開始され、まず初日は3回に分けたセッションが行われた。午後2時からの3時間にわたる公式練習走行1回目は、ハイパーカーGR010 HYBRID 2台共に順調に進み、8号車がハートレーのタイムでトップ、7号車は小林のタイムで5番手につけた。 日曜日の公式テストデーで、2台あわせて2,800km以上を走破したチームは、その後の2日間も、エンジニア、ドライバー共にハードワークを続け、車両及びセットアップの準備を進めてきた。チームはこの最初の練習走行でそれらを検証し、特に空力的な比較に重点を置いて、セットアップの最適化に取り組んだ。午後7時から1時間で行われた予選では、明日9日(木)に各カテゴリー上位6台によって争われるハイパーポールへの進出権を争った。GR010 HYBRIDが属するハイパーカークラスは全5台のエントリーのため、チームにとっては更なる練習走行セッションとして、空力の最適化やメカニカル、また、制御系のセッティングに時間を費やした。 しかし、8号車は車体右後方部の交換作業により出走が遅れ、コースインしたものの、まもなくGT車両のアクシデントで赤旗中断となり、このセッションは順調とは言い難いものとなってしまった。 アクシデントのあったGT車両移動後、予選セッションが再開されたが、ハートレーがアタックに入ろうとしたタイミングでコース上には雨が降り始め、8号車は総合29番手のタイムでこのセッションを終えることとなった。対照的に、7号車はセッション序盤に小林可夢偉がマークしたタイムが僅差ながらタイムシートのトップにつけ、暫定ポールポジションとなった。 その後、夜10時を過ぎてコースを夕闇が包む中で、2時間にわたるこの日最後の公式練習2回目が行われた。このセッションでは、決勝レースに出場する全ドライバーが最低5周の夜間走行をする必要がある。TOYOTA GAZOO Racingの全ドライバーはセッション終了までにこの条件をクリアした。 チームはタイヤの比較やセットアップ調整を続け、7号車が2番手タイム、8号車は3番手タイムでこの日のナイトセッションを終えた。 明日9日(木)は第90回ル・マン24時間レースのスターティンググリッドを決定する、30分間のハイパーポールセッションが行われる。このハイパーポールでは、各車両のドライバー1人のベストタイムでグリッドが決定される。 チームの目標は6年連続ポールポジション獲得であり、ル・マンでの新たな記録に名を刻むこととなる。小林可夢偉にとっては、彼自身5度目のポールポジション獲得のチャンスでもあり、もし達成できれば、ル・マンの伝説的ドライバーである、ジャッキー・イクスに並ぶ大記録となる。また、トヨタにとっても、今年ポールを獲得すれば、ル・マンにおける通算ポールポジション記録で、歴代2位のアウディと並ぶことになる。 小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)レースウィークが始まって嬉しいですし、週末に向けた準備を進めています。今日は走れる時間が長く、テスト同様に多くの周回をこなし、様々なコンディション下での車両バランスなどを確認することができました。全てが順調に進んでいて、予選で最速タイムを出せたのは良かったです。とはいえアタックしたのは1周だけで、あとはテストに集中しました。もちろん、明日はポールポジションも狙っていますが、我々の目標はあくまでも、決勝レースで勝てる車両を作り上げることです。 マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)今日は良い一日で、予定していたプログラムの多くをこなすことができました。予選はクリーンなラップを取ることと、ハイパーポール進出を確実にすることが目的であり、それは達成できました。その後は夜間走行でも快適に走れるようにすることに集中しました。GR010 HYBRIDは好調に感じられますし、セットアップという面でも良い方向に進んでいると思います。あとは細かい微調整を続け、週末へ向けて完璧に仕上げていくだけです。 ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)GR010 HYBRIDは好調で、可夢偉が予選で良いラップタイムをマークしハイパーポールへの進出を決めてくれたので、予選セッション残りの時間はテストに充てることができました。2回の練習走行も非常に充実したものとなり、決勝レースへ向けて多くの有意義な準備作業を進められました。ここル・マンでのナイトセッションは何度走っても特別な体験で、とても楽しいです。ハイパーカークラスでのラップタイムは非常に接近していますが、まだ始まったばかりですし、これから数日間で状況は変わっていくでしょう。 セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)多くの周回をこなし、慌ただしい一日でした。予選は予定していたとおりには行かず、やや時間をロスしてしまいました。ハイパーポールに出走するためにラップタイムを残す必要がありましたが、まさにその時に雨が降ってきたので、タイムを伸ばせませんでした。そのため、理想的な状況とは言えず、決勝レースへ向けて改善すべき作業が残っています。とはいえ今日も多くの周回をこなしたので、データを見直し、明日はもっと速く走れるようにしたいと思います。 ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)公式練習1回目は順調でしたが、予選では我々の車両はやや出遅れてしまい、コースに出た途端に赤旗が出されてしまいました。そのあと雨が降り始めたた...
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