14日間に渡って戦いが繰り広げられたダカールラリー2022がゴールを迎え、TOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組のGRダカールハイラックスT1+が優勝を果たした。TOYOTA GAZOO Racingにとっては初の総合優勝となった2019年大会以来3年ぶり2回目の勝利となる。また、この日の最終ステージではヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組が、今大会2度目となるステージ勝利。4台体制で今大会に挑んだTOYOTA GAZOO Racingは、4台全車が完走。全12ステージ中、5ステージを制した。
1月14日(金)、サウジアラビアの、紅海に臨む大都市ジェッダでダカールラリー2022がフィニッシュを迎えた。元旦にスタートが切られてから2週間、競技区間の合計4261km、移動区間も含めた総走行距離8119kmを走り抜いてきた「世界一過酷なラリー」を制したのは、TOYOTA GAZOO Racingのアル-アティヤ/ボーメル組が駆る、GRダカールハイラックスT1+だった。 ステージ1でトップに立つと、その後は首位の座を譲ることなく2位に33分差をつけて最終ステージに臨んだアル-アティヤ/ボーメル組にとって、今大会最短である競技区間165kmのステージ12は、ナビゲーションこそ難しかったものの、大きな問題にはならなかった。今大会2度のステージ勝利を挙げたアル-アティヤ/ボーメル組は最終ステージをトップから約8分遅れの19位でフィニッシュしたが、最終的には2位に27分46秒差をつけての総合優勝に輝いた。この勝利は、アル-アティヤにとって特別なものだった。カタール人のアル-アティヤにとって、2020年から中東・サウジアラビアが舞台となったダカールラリーを制することは悲願であり、2020年、2021年大会共に優勝争いをしながらも僅差の2位と涙を飲んできたが、今年ついにその雪辱を果たすことになった。そしてこの勝利は同時に、チームにとっても特別なものとなった。今大会に向けチームは新たに、大径化されたタイヤとホイール、拡大されたサスペンションストローク、そして新型ランドクルーザー300 GR SPORTの新開発3.5リッターツインターボV6エンジンなどを採用した、GRダカールハイラックスT1+を開発した。この勝利は、チームが「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の信念の下に、技術の限界に挑んだ結果だ。最終ステージは、ラテガン/カミングス組にとって雪辱のステージでもあった。ラテガン/カミングス組は前日のステージ11で、総合優勝を争うアル-アティヤ/ボーメル組をサポートするために彼らを待ち、ステージ争いに参加出来なかった。そしてフルアタックの許された最終ステージ12では、前日の順位により後方からのスタートを余儀なくされ、タイヤのパンクにも見舞われながらも猛烈な走りを見せ、今大会2度目となるステージウィンを飾った。 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組にとっては浮き沈みの激しい大会となった。前半戦は表彰台圏内を争っていたが、ステージ7でオイルパイプの破損に見舞われて無念のタイムロス。しかしそれでも彼らはステージ9での1勝を挙げ、最終的に総合トップ5で走り抜いた。最終ステージ12では、首位のラテガン/カミングス組から5分30秒遅れの12位フィニッシュとなったが、それでも総合5位の座を守るには十分だった。 シャミア・ヴァリアワ/ダニー・スタッセン組は、今大会初めてのコンビながら、ラリーを戦っていく中で力をつけていった。ラリー序盤戦の不運で順位は落としたものの、後半戦に入ると何度も好結果を残し、最終ステージでも着実に走り抜いて、総合15位でフィニッシュ。ヴァリアワにとっては2度目、コ・ドライバーのスタッセンにとっては初のダカール完走となった。 今年の大会で通算44回目を迎えた「世界一過酷なラリー」ダカールラリーが初開催されたのは1978年。2007年までは主にアフリカ大陸北部が舞台として戦われてきた。2008年はテロの脅威によりイベントがキャンセルされ、翌2009年より舞台が南米へと移ると、以来10年にわたって壮大な景観と過酷な路面の中でラリーが争われてきた。2020年、ダカールラリーは初めて中東へと移り、サウジアラビアで開催。今年もサウジアラビアを舞台に、世界中から集まった冒険者達が数々のドラマを繰り広げた。 ダカールラリー終了後のコメントグリン・ホール(チーム代表 )ナッサーとマシュー、そして我々チーム全員にとっても本当に最高の勝利です。新しいGRダカールハイラックスT1+が、デビュー戦のダカールラリーで勝利でき、感激しています。この勝利を、長年にわたってTOYOTA GAZOO Racingのダカールプロジェクトをサポートし続けてくれたヨハン・ファン・ゼイル博士(元欧州トヨタCEO:2021年7月逝去)に捧げます。今年成し遂げたこの勝利を心から誇りに思っていますし、きっと博士も喜んでくれていると思います。ナッサー・アル-アティヤダカールでの勝利は最高の気分です! 我々は序盤からラリーをリードし、大会を通してペースをコントロールしてきましたが、それを成し遂げての勝利は格別です。TOYOTA GAZOO Racingとサポートしてくれたスポンサーの皆様に感謝します。また、この素晴らしいGRダカールハイラックスT1+を生み出してくれた、チーム代表兼テクニカルマネージャーでもあるグリン・ホールにも感謝しています。最高のダカールでしたし、本当に嬉しいです。 ジニエル・ド・ヴィリエール最終ステージはナビゲーションが難しいポイントが数多くあり、とても大変でした。我々が正しいルートを見つけた瞬間にステファン(ペテランセル)が追いついてきたこともありました。彼は幸運でしたが、我々は何度もルートを探すために何度も引き返さなくてはなりませんでした。最終ステージにもかかわらずそれほどナビゲーションの難しいステージでした。最終的に、我々は総合5位でフィニッシュできましたが、表彰台に届かなかったのは少し残念です。ナッサーとマシューの勝利を本当に喜んでいます。クルマは最高でしたし、チームも素晴らしい仕事をしてくれました。こうしてダカールラリーを無事に完走できたことに満足しています。 ヘンク・ラテガンようやくダカールを最後まで経験できました。序盤にステージ勝利を飾ることができた一方で、暗くなるまで砂漠でサポートを待つこともあり、最高の瞬間も、最悪とも思える瞬間も経験することができました。昨日のステージ11でトラブルに見舞われたのもあって、昨夜はちょっと落ち込んでいましたが、一晩寝て気持ちを切り替えました。今日の最終ステージでは多くの車両を追い抜く必要がありましたし、パンクにも見舞われました。その時には我々にとってのステージ2勝目の夢は潰えた...
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