トヨタはFIA世界耐久選手権(WEC)タイトル防衛を目指し、この週末ベルギーで行われる開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースに臨む。4月29日(木)、初日の公式練習が行われ、多くのチームによる総合優勝争いが予想されるWEC2021年シーズンのスタートが切られた。トヨタが今季に向けて開発した4輪駆動のル・マンハイパーカー GR010 HYBRIDは、今週月曜、火曜に行われたプロローグ・テストに続き、2021年最初のWEC公式走行セッションである公式練習1回目に参加。
2台のGR010 HYBRIDは5月1日(土)に行われる決勝レースへ向けての車両最適化及び空力とメカニカル面でのセットアップ評価を行った。公式練習1回目の結果は、上位11台のラップタイムが1秒以内と、非常に接近した内容になった。昨シーズンの世界チャンピオンであるマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名が駆るGR010 HYBRID 7号車は2分4秒574の7番手でこの日のセッションを終え、ル・マンウィナーであるセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーの8号車は2分4秒947で10番手となった。今週前半に行われたプロローグ・テストで見せた、LMP2クラス車両の速さはこの日も続き、新たなレギュレーションにより昨年までのLMP1クラス車両よりもパフォーマンスを抑えた新型ハイパーカーを上回るタイムをマーク。LMP2クラス車両が総合優勝争いに加わる可能性を示した。この日の最速タイムはLMP2クラスのユナイテッド・オートスポーツ 22号車の2分4秒083だった。29日(木)の初日は、1回の公式練習セッションのみが行われたが、空には雲が重く立ちこめ、セッション開始時の気温は摂氏6度と、今週月曜日と火曜日に行われたプロローグ・テストよりも低いコンディションだった。GR010 HYBRIDはこのプロローグ・テストで、2台の合計290周を走破し、テストプログラムを完了している。プロローグ・テストのあと、エンジニアはドライバーと共にデータを分析し、1周7.004kmの伝統あるスパ・フランコルシャン・サーキットでのセットアップ改良を目標に懸命な作業を続けてきた。この日はセッション終盤に5分間の赤旗中断があったものの、2台のGR010 HYBRIDは順調に周回をこなし、合計67周、469kmを走破。エンジニアに有用なデータをもたらした。チームは明日30日(金)も2度の公式練習セッションをこなし、夕方に行われる予選に挑む。現時点で上位勢のタイム差はほとんどないため、僅差でのポールポジション争いが予想される。小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)今日はあまり多く走れなかったので、自分たちの立ち位置を明確に把握するのは難しいですが、プロローグ・テストでも同じような状況だったので驚くことではないです。我々7号車はプロローグ・テストでもあまり走れなかったということもあり、もっとロングランして、GR010 HYBRIDを把握していくことが必要だと思っています。これまでのところ、7号車にとっては理想的なレースウィークにはなっていませんが、明日も改善のために全力を尽くします。マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)今日はコースに戻れて嬉しいです。あまり周回を稼げたわけではなかったですが、感触は良かったです。何度かのロングランを試しましたが、順調でしたし、今日のようなより寒いコンディションでも車両バランスはさらにいい感触でした。まだやるべきことはありますし、明日の予選までに何ができるか楽しみです。ここスパではLMP2カーが強いですが、スパでのレースウィーク、これから何が起こるかまだ分かりません。ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)プロローグであまり走れなかった分、今日は走行距離を伸ばせたのは良かったです。ラップタイムはシミュレーションでの予測通りとなりました。ここスパはタイヤ、車両どちらにとっても特殊なサーキットなので、車両の把握を深めるため、まだセットアップやタイヤについて学んでいる途中ですが、着実に進歩を遂げています。明日も順調にセッションをこなすことが最優先です。中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)今日はまずまずな一日でした。LMP2カーとの比較では僅かに遅れを取っていますが、プロローグ・テストの時よりも感触はいいですし、このような挑戦も悪くありません。幾つかの解決策を見つけましたし、感覚的にはむしろポジティブです。ニュータイヤで何周かしたのも役立ち、バランスも良くなりました。GR010 HYBRIDの感触は改善されていて、扱いやすくなっていますが、まだやるべきことは残っています。セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)公式シーズンの開幕を迎え、多くの周回を重ねることができてうれしいです。再びWECの舞台でドライブできて幸せですし、ラップタイムこそ期待通りではなかったとしても、セットアップは順調に進んでいると感じています。今日はずっとドライで走れたのも良かったです。ドライ路面であるだけでも嬉しいですが、これが週末まで続いてくれることを祈っています。良いデータも得られたので、明日へ向けて改良を進めます。ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)予定通りに走ることができ、とても順調なセッションでした。幾つかセットアップの変更を試しましたが、今日は曇り空で、コースコンディションがプロローグ・テストの時とは異なりましたし、今後もどうなるか分かりません。プロローグ・テストのあと、異なるセットアップを試していますが、それらが車両バランスにどう影響するかを分析する必要があります。これら作業の全てが、GR010 HYBRIDに慣れ、決勝レースへ向けて改善していくために必要なプロセスです。順位No.ドライバー名チーム/車種周回ベストタイム122フィリップ・ハンソンファビオ・シェーラーフィリペ・アルバカーキユナイテッド・オートスポーツ/Oreca 07-Gibson272:04.083236アンドレ・ネグラオニコラス・ラピエールマシュー・バキシビエールアルピーヌ・エルフ・マトムート/アルピーヌ A480-Gibson332:04.335370エステバン・ガルシアロイック・デュバルノルマン・ナトリアルチーム・レーシング/Oreca 07-Gibson82:04.471428ショーン・ゲラエルストフェル・バンドーントム・ブロンクヴィストイオタ/Oreca 07-Gibson302:04.475521ヘンリク・ヘドマンファン・モントーヤベン・ハンリードラゴンスピード USA/Oreca 07-Gibson332:04.482629フリッツ・ヴァン・イアードギド・ヴァン・デル・ガルデヨブ・ファン・ウィタートレーシング・チーム・ネーデルランド/Oreca 07-Gibson342:04.49177マイク・コンウェイ小林可夢偉ホセ・マリア・ロペスTOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID322:04.574108...
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