今シーズン、2度の表彰台を獲得し、コンストラクターズ選手権で4位を争っているトヨタF1チーム。TMG会長兼チーム代表の山科忠が、トヨタF1チームの“改善”を語った。トヨタF1チームの本拠地はドイツのケルン。しかし、その精神的な中心となっているのは日本だ。近年、日本とチームのつながりは、トヨタ方式いわゆる“トヨタウェイ”がケルンの拠点にも益々取り入れられるようになると共に一層強化されている。
「我々の結果が上向いてるのにはいくつか主立った理由がある」とトヨタF1チーム代表の山科忠は語る。「一つはチームのオペレーション、つまりチームワークだ。今は全員が協力してチームを引っ張っている。これにはレースの現場に赴く人間とファクトリーに留まる人間の両方が含まれる。オペレーションが改善されたため、誰もがチームをより良くするために仕事をしてくれている」改善、つまり継続的な向上作業は、トヨタウェイの哲学の礎石と言えるもの。そしてこの哲学がトヨタF1チームにおいてもまた重要な基本理念になっている。「他者と情報交換をして自分の仕事を楽しむという原則が、トヨタの基本だ」山科は、一つのオフィスをチームのトップマネージメントの面々と共有し、直接的なコミュニケーションができるようにしている。こうして他者に対し心を開く態度を見せることによって、革新が加速し、そして将来の成功の種まきが可能となる。「どれだけ相手が遠くにいようと、日常業務のコミュニケーションは電子メールでできる。だが実際に顔を突き合わせて話し合いをすれば、人はすぐに結束することができる。誰かに直接何かを伝えたいと思ったら、その場ですぐにできるわけだからね」「もう一つ言えるのは、みんなの日々の仕事に自分も一層関わるようになるということだ。我々3人が同じ部屋にいるということは、つまり、社内の別の場所で何が進行中なのかをより良く理解できるということでもある」30カ国以上の人々が働くトヨタF1チームは、F1における国際連合のようなもの。ケルンの約650名のスタッフのうち日本人も多くいるが、山科忠は各国出身のスタッフ全員がお互いから貴重な教訓を学んでおり、それがチームにトヨタならではの可能性を生み出している、と信じている。「日本人エンジニアたちの強みは、彼らがトヨタウェイのやり方で仕事をした経験を豊富に持っていることだ。ヨーロッパやその他の国々出身のエンジニアたちの強みは、F1やその他のモータースポーツで長年仕事をしてきた経験があることだ。我々はそれぞれの強みを組み合わせ、たとえばトヨタ流の仕事のやり方が一番適切な場合は日本人エンジニアたちが同僚にそのやり方を教え、F1流のやり方が最適な場合はこちらのエンジニアたちから学ぶようにしている。そしてそこで学んだことを日本にフィードバックしている。ここではこうしたミックスしたアプローチを採っているわけだ」
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