トロロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーが、2018年のF1世界選手権の開幕3戦のトロロッソ・ホンダの戦いを振り返った。昨年9月にトロロッソがホンダのF1パワーユニットを使用する契約を発表した際、多くの人々が2018年に好成績を実現することはできないだろうと考えた。ホンダF1はマクラーレンの3年間の悲惨なシーズンの原因と見なされていた。
トロロッソは、その背後にレッドブルの力があるにせよ、マクラーレンに匹敵する予算は持っていない。そして、トロロッソ・ホンダは2018年にピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーというグリッドのなかでも経験の浅いドライバーを起用した。その予想はオーストラリアで露わになった。ブレンドン・ハートレーは周回遅れの最下位、ピエール・ガスリーはMGU-Hの故障で完走すらできなかった。だが、第2戦バーレーンではピエール・ガスリーがフェラーリとメルセデス勢の後ろで4位入賞を果たすという大殊勲の結果を残した。トロロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーは、開幕戦での苦戦がバーレーンでの前進への称賛を大きくしたと語る。「オーストラリア以降に我々がシャシー/メカニカルセットアップの両方で果たした前進と新しい空力パッケージがお互いを補い、かなりうまく機能した。我々はバーレーンはオーストラリアよりも我々に適したサーキットだと感じていた」「オーストラリアでの我々はかなり不甲斐ないパフォーマンスだったので飛躍は巨大に見えるが、それは実際は悪いレースに次いで良いレースをしたからだ。だが、期待していた以上に作業の組み合わせからパフォーマンスを発揮できたかもしれない。バーレーンに着いて、走行し始めると、クルマのバランスがかなり改善していることに気付いた」「結果には驚いていない。その時点までに我々は自分たちのパフォーマンスレベルをそれなりに理解していると感じていたからだ。我々はフリーエアに彼を出すという戦略に頼っていたし、それがうまくいった」もうひとつの要因は、今年のミッドフィールドの実力が非常に拮抗している部分もある。比較的小さなゲインでさえ、グリッドで多くのポジションアップを果たすことができた。「中団のグリッドポジションは非常にタイトだ。ラップタイムを見れば、実際にはコンマ2秒がミッドフィールドバトルの先頭と最下位の差となる。なので、パワーバランスはサーキット、ドライバーが特定のサーキットを得意としているが、タイヤなどによってシフトすると思っている。それら全ての側面が週末のパフォーマンスの影響する」「我々のドライバーがトラックに不慣れな場合、彼らは学ばなければならないし、金曜日は学習の日となるだろう。なので、必ずしも最後までフルのパフォーマンスを見せられるわけではない」チーム代表のフランツ・トストがレッドブルの“幼稚園”と表現するトロロッソは、経験不足のドライバーを起用することにおいて豊富な経験を持っている。ピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーは、昨シーズン末にデビューを果たし、2018年の開幕時には二人合わせて9戦の経験しかなかった。しかし、彼らは他のカテゴリーでその実力を証明している。ピエール・ガスリーはGP2(現F2)でチャンピオンを獲得し、ブレンドン・ハートレーは、ル・マン24時間レースを制し、WECでチャンピオンを獲得している。ジェームス・キーは、現在のマシン開発はデータドリブンのため経験の浅いドライバーがチームにとってそれほどハンデにはならないと考えている。「特定の範囲で経験不足を回避するためにドライバーと協力する方法はあると思う。エンジニアリング的にはより多くのプレッシャーがかかるが、それでもやり遂げることはできる。クルマには多くのデータがあり、クルマの開発をドライバーに頼らなかったり、自分たちだけでできるようなこともある」「特にレース週末など、ドライバーが本当に役割を果たす場所では状況に特定の傾向がある。ドライバーが期待したよりも0.5秒遅くても、彼は『心配はいらない。予選までに必要なフィードバックは得られる』とね。例えば、カルロス(サインツ)は昨年我々の元を去った際にそのレベルにいた」また、トロロッソはエンジンンの変更にも精通している。2014年にV6ターボパワーユニットが導入されて以来、2年間同じエンジンを使用したのは1度しかない。マクラーレンがホンダからルノーに変更して苦戦していることで示されるように、非常に複雑なパワーユニットのサプライヤーを変えることは大きなタスクだ。だが、トロロッソはその変更に非常に慣れている。「3年間で3つ目のエンジンだし、他のどのチームもそのようなことは経験していない」とジェームス・キーは語る。「全てインストールが異なるので、我々は非常に苦労してきた。結果として、我々はそれに対処するための作業方法を学んだ。逆にマクラーレンは同じようなチャレンジに直面したと思う」「我々はそのための方法論を持っている。プランニング過程を経て、出来る限り多くのことを遅らせ、全てを再計画する。我々は物事の順序も変更したし、以前では早期にリリースしなかったものを後半にリリースし、それを補っている」カスタマーからワークス待遇となったこともダイナモテストなどトロロッソに以前はやっていなかった追加の機会をもたらしたが、ジェームス・キーは“以前にやっていなかったことは追加のリソースと労力を要する”とし、フェラーリからルノーへ切り替えたときよりも大きな変更wを加えなければならなかったと語る。「初めてのワークス契約としては、現時点ではそれなりにうまくいっており、我々はそれを楽しんでいるが、それをするためのセトアップはできていない。組織変更やスタッフの追加の時間などが必要だった。その点では簡単ではなかった」「しかし、エンジンがぎりぎりで変更になったり、ドライバーが変更になる可能性もあるなかでは柔軟でなければならないし、人を動かすための十分な柔軟なリソースを持っていなければならなかった。それによって内部的に柔軟性が発展していた」レッドブルは、2019年にホンダのF1パワーユニットを使用する可能性があるという見地から、トロロッソ・ホンダのパフォーマンスを見守っていることを秘密にはしていない。ホンダのF1パワーユニットがルノーに匹敵するものになれば、レッドブルは自動車メーカーと密接に作業し、ワークスパートナーとしてのより密接な作業関係から利益を得られることになる。レッ...