8月4日(土)~5日(日)、静岡県の富士スピードウェイで2018年度SUPER GTシリーズ第5戦が開催された。異常気象とも言える猛暑が続く中だが、多くの観衆が詰めかけ、レースウイークが始まった。薄く流れる雲のすき間から太陽が照りつけ、気温・路温とも急上昇する厳しいコンディションとなった土曜日の練習走行では、#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐)が5番手、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史)が8番手につけた。
しかし午後の公式予選では、#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)が8位に食い込んだものの、#17 KEIHIN NSX-GTがセンサートラブルで出走できず、さらに他のNSX-GT勢もQ2進出を果たせなった。またGT300クラスの#34 Modulo KENWOOD NSX GT3は、公式練習でクラス3番手となる好タイムを記録しながら、セッション中に他車に追突されて車両が破損したため、残念ながら今大会への出走を見合わせることとなった。Modulo Drogo Corseは、今月末に迫った鈴鹿10時間耐久レースに間に合わせるよう準備を進めていくことになる。日曜日午後1時30分、真夏の太陽の下で今シーズン最長の500マイル(約800km)にも及ぶ決勝レースが始まった。NSX-GT勢予選最上位だった#8 ARTA NSX-GTは8番手のポジションを守りながら序盤を戦い、さらに14番グリッドから着実に追い上げてきた#17 KEIHIN NSX-GT、そして序盤にイエローフラッグ中の追い越しによるペナルティーを受けた#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)が続く展開となった。高温の中の長距離レースを戦う過程で上位車がトラブルやミスで順位を落とす一方、#8 ARTA NSX-GTを先頭にした3台のNSX-GTは確実に予定のピット作業とドライバー交代を消化しながら、安定したペースで周回を重ね、揃って順位を上げていった。長いレースも折り返して後半に入り、3回目のピット作業を終えた段階で#17 KEIHIN NSX—GTが#8 ARTA NSX-GTをオーバーテイクして5番手へ浮上。その後も3台のNSX-GTは5秒から10秒の間隔を保って安定したペースで走行を続け、チェッカーフラッグを目指した。最終的に#17 KEIHIN NSX-GTは3位まで順位を上げてフィニッシュ、4位に#8 ARTA NSX-GT、5位に#100 RAYBRIG NSX-GTと続いて、それぞれシリーズポイントを獲得した。この結果、5位に入賞した#100 RAYBRIG NSX-GTの山本/バトン組は8点を加え、シリーズランキングでは2位と同点の3位(優勝回数差による)につけた。塚越/小暮組も2点差でこれを追う僅差の展開で、残り3戦のチャンピオンシップ争いに加わっていくことになる。佐伯昌浩 プロジェクトリーダー「今回は結果的に全車、今シーズン2基目のエンジンを積んでレースを戦うことになりました。予選ではウエイトが軽いクルマに対して苦しい展開になるのは分かっていましたが、我々は高温での耐久性を見越してタイヤを選択して持ち込んでいたので、レースになれば上位へ行けると予想していました。今年のNSX-GTは、ウエイトを積んだ状態でもうまく走れるようにと狙って進化させましたが、タイヤも含めた開発がうまく噛み合って機能した結果が出たと感じています」塚越広大「走っていれば上位に行ける速さがあったと思うので、予選に出走できなかったのは残念です。ただ、長距離のレースに向けて決勝で速いクルマ作りをしてきましたから、慌てず少しずつ着実に順位を上げようと集中しました。戦略もピット作業もドライバーも、みんなができる限りの力を出した結果、表彰台に上がれたのでとてもうれしいです。僕たちは今回ウエイトハンデが50kgと重かったので、ここで1ポイントでも獲って、燃料流量を絞られてもウエイトを下ろそうと思っていました(ウエイトハンデは最大50kgまでで、それ以上は燃料リストリクターとの組み合わせでハンデ調整される)。次のレースに向けて狙い通りになりました」小暮卓史「予選を走れずに、最後尾に近いところからスタートしたのに、表彰台まで追い上げることができて、すばらしい結果になりました。チームと、レース向けのクルマ作りをしてきたので、着実に走ればそれなりの順位まで上がれると思っていましたが、表彰台まで来られるとは思いませんでした。ここまで僕たちは決勝がうまくいかない傾向があって、なんとかしようとチームが前回のレースで得られたデータを元にうまくクルマを作ってくれました。猛暑の中、長いレースでしたが、前半は少し暑い感じがしたものの後半は涼しくなったので体力的には何の問題もありませんでした。次のレースは勝負ですね」