7月18日(土)~19日(日)に静岡県の富士スピードウェイで2020年度SUPER GTシリーズ第1戦が開催され、GT500クラスに5台の2020年型NSX-GT、GT300クラスに3台のNSX GT3が出走した。当初シリーズ開幕戦は4月第2週に岡山国際サーキットで開催される予定だったが、新型コロナウイルス蔓延にともなう緊急事態宣言発令を受けて年間スケジュールが見直され、無観客レースながらようやく開幕を迎えることになった。
今シーズンのSUPER GTではGT500クラスにクラス1規定が導入され、NSX-GTはモノコックやサスペンションなど共通コンポーネントを使った上、エンジンをフロントに置く大改良を加えて2020年型に生まれ変わった。HONDAがFR形式のGT500車両を走らせるのは2013年まで走ったHSV-010GT以来7年ぶりとなる。今回は、土曜日夕方に練習走行、日曜午前中に公式予選、午後に66周の決勝レースという変則タイムスケジュールでイベントが進行した。日曜日は悪天候も予報されていたが幸いにも天候は回復し、ほぼドライコンディションで公式予選が行われた。GT500のQ1セッションでは、#8 ARTA NSX-GT(福住仁嶺)がベストタイムを記録、2番手に#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)、5番手に#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京)が続き、8台で争われるQ2セッションへ進出した。GT300クラスの予選を挟み、10分間で行なわれるQ2セッションではARTA NSX-GT(野尻智紀)が2番手、RAYBRIG NSX-GT(牧野任祐)が4番手、Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀)が8番手となった。#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)は9番手、#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)は13番手で予選を終えた。心配された天候は回復し、薄日がもれる下、午後3時に決勝レースが始まった。スタートダッシュでARTA NSX-GT(福住)は先頭の#37 KeePer TOM'S GR Supraに攻め寄りますが惜しくも押さえ込まれた。しかし、4番手スタートのRAYBRIG NSX-GT(山本)はTGRコーナーでインへ飛び込み、一つ順位を上げて3番手へ上がって福住に続いた。序盤、福住は前を行く37号車を攻めたが徐々にペースが上がらなくなって間隔を広げられ、12周目には山本とその後ろにいた#36 au TOM'S GR Supraの先行を許した。その後も福住のペースは上がらず、その後さらに順位を落とした。一方、2番手に上がったNo.100山本は後方の36号車とデッドヒートを繰り広げたが、23周目のAコーナーでインをとられ3番手に後退した。山本は30周を走ってピットイン、交代した牧野は3番手を守ってコースに復帰、追い上げてくる#38 ZENT GR Supra、#14 WAKO'S 4CR GR Supraと戦う展開となった。福住からマシンを引き継いだ野尻はその後ろに続いた。全車ドライバー交代のピットインを終えた37周目、13コーナーのコース上に停止した車両を回収するためセーフティカーがコースインし、レースは振り出しに戻った。43周目から再スタートが行なわれると、ペースが上がらなくなった野尻が順位を落とし、51周目にはそれまで3番手を守ってきた牧野がTGRコーナーで14号車、コカコーラコーナーで38号車に先行を許し5番手へ交代した。さらに牧野は63周目のTGRコーナーで順位を落としたが、NSX-GT勢最上位の 6位でレースを終えた。野尻は8位でレースを終えた。佐伯昌浩 | 株式会社本田技術研究所 Honda GT プロジェクトリーダー「テストの機会が十分にはなかったので、ロングランで苦しくなるのではないかとは予想していましたが、予想以上に苦しい結果になってしまいました。タイヤの選び方も含め、今回はライバルのコンビネーションが合っていたということだと思います。短い時間で仕上げたクルマとしては公式予選のように一発の速さは見えたので、次回のレースに向けてロングランでの安定性を車体とエンジンの両方で対応し、今回出し切れなかったパフォーマンスを出し切れるように備えます」山本尚貴(6位)「レース序盤はペースがよくてこのままいけるかなと思っていました。しかしこれだけ安定したコンディションでレースの距離をしっかりと走ってテストすることができなかったので、今回実戦で初めて走り、今まで感じたことのない症状なども出てペースが上がらなくなりました。第2戦まであまり時間はありませんが、同じ富士でのレースなので今回起きたことをしっかりチームと解析し、今回のような結果にならないよう表彰台を目指してがんばります。引き続き応援をよろしくお願いします」牧野任祐(6位)「待ちに待った開幕戦だったので、レースできる喜びを噛み締めながら走りました。土曜日から調子がよかったのでポールを狙って予選に臨みました。4番手、2列目の結果はまずまずだと思います。クルマを山本選手から引き継いだとき、後ろから38号車が来ているのは分かっていたので抜かれないようにがんばりました。当初は押さえることもでき、前に36号車が見えたりもしたのですが、セーフティカー明けからペースが上がらなくなりました。特別になにか問題があったわけではないのですが、周囲のペースについていけないという感じでした。残念な結果ですが、一発の速さは確認したので次は勝てるようにがんばります。応援をお願いします」