スーパーフォーミュラの開幕戦が鈴鹿サーキットで行われ、予選3番手から抜群のスタートを切ったアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が独走で優勝。同じく5番手スタートからジャンプアップした中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が2位で続き、トヨタRI4Aエンジンが2年目の開幕戦を1-2フィニッシュで飾った。決勝日19日(日)は朝方雨に見舞われ、午前9時5分からのフリー走行はウェットコンディション。
しかし、その後路面は乾いていき、決勝前にはドライコンディション、しかし、空には雲が立ちこめる微妙な状況でのスタートを迎えた。午後3時にフォーメーションラップが開始され、43周の決勝レースのスタートが切られた。3番手グリッドのアンドレ・ロッテラー、5番手グリッドの中嶋一貴が抜群のスタートダッシュを決め、1コーナーまでに一気に1-2位に浮上。これに、4番手スタートの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が3位で続いた。石浦宏明は山本尚貴(TEAM 無限)の猛追を受け、オーバーテイクシステムを共に使い合いながらの、序盤からの激しいバトルを展開。しかし、惜しくもかわされ、4位に後退。その間に、首位のアンドレ・ロッテラーは2位中嶋一貴との差も広げていき、盤石の首位独走態勢となった。中嶋一貴は、石浦宏明をかわした山本尚貴に追われることとなったが、その差を1秒前後でコントロール。トップ3台はこの順位と間隔のまま周回を重ねていくこととなった。一方、注目の小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)は10番手スタートだったが、直前8番手の国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がスタートでエンジンストール。この影響もあり小林は12位までポジションダウン。中団グループでの混戦を避けるべく、燃料的にぎりぎりのタイミングである9周目に早くもピットへ。タイヤ交換と給油を行い、単独走行での追い上げを狙った。翌周、予選で16番手と振るわなかったアンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL)も同様の作戦でピットイン。こちらはタイヤを交換せず,給油のみで小林の前でコースに復帰した。小林はカルダレッリに前をふさがれる形となり、フレッシュエアでのクリアラップを狙った作戦は奏功せず。ポジションアップは果たせなかった。中盤戦は大きな動きはなく、折り返しを過ぎた27周目、13位を走行していた国本雄資がピットイン。ここで給油の際に出火。火はすぐに消し止められたものの、国本雄資は大きくタイムをロスすることとなってしまった。29周目終了時に、2位走行中の中嶋一貴がピットイン。翌周、中嶋一貴を追っていた山本尚貴もピットへ向かったが、中嶋一貴は素早いピット作業にも助けられ、山本尚貴の前でポジションをキープ。その翌周にはアンドレ・ロッテラーもピットへ。盤石のピット作業で、全車がピットを終えた時点で、再びアンドレ・ロッテラーが2位中嶋一貴に7秒程の大差をつけて首位に立った。ピット戦略で、最後まで引っ張る作戦を採ったのがジェームス・ロシター(KONDO RACING)。前半戦はジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)に4秒ほどの差をつけられての7位を走行していたが、ピット戦略が奏功し、タイヤ無交換作戦を採ったこともあり、オリベイラの前でピットアウトすることに成功した。終盤戦は、ジェームス・ロシターをテール・トゥ・ノーズで攻めるジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、そしてこのバトルに追いついた石浦宏明の3台による5位争いが白熱。残り2周となった42周目、バックストレートで共にオーバーテイクシステムを使ってのバトルから、シケインでの勝負を賭けたジョアオ・パオロ・デ・オリベイラだったが、2台は接触。ジェームス・ロシターがコースオフするも順位は変わらず、ファイナルラップでの争いになるかと思われた。しかし、ファイナルラップに更なるドラマが。好走を見せていたジェームス・ロシターが突然スローダウン。痛恨の燃料切れによりコース脇に車両を停めることに。このファイナルラップでは、中嶋一貴と2位を争っていた山本尚貴もトラブルでストップする波乱の幕切れとなった。一方で、首位のアンドレ・ロッテラーは大差をつけての余裕の独走チェッカー。中嶋一貴が2位で続き、2年目を迎えたトヨタ「RI4A」エンジンは開幕戦を1-2フィニッシュで飾った。山本尚貴のリタイヤによりジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが4位、石浦宏明が5位フィニッシュ。小林可夢偉は9位でチェッカーを受けた。アンドレ・ロッテラー (優勝)今日は嬉しい一日となった。チームメイトと共に1-2フィニッシュ出来て最高だ。チーム力による成果だ。常に勝てている訳ではないが、持っているチーム力がこういう時に現れるんだと思う。スタートがキーポイントだった。首位に立ててからはプッシュし続けた。僕のレースとして見れば、展開はシンプルだったが、簡単なレースではなかった。良いクルマを仕上げてくれたからこそ結果がついて来たと思っており、チームに感謝している。 中嶋一貴 (2位)スタートが一番のキーだと言うことは、重々承知していた。結果的には、スタートは上手く行って良かった。頭の中では、スタートでアンドレを抜く予定だったのだが。2台で前に出る事が出来たが、後ろについたライバルが速く、基本的にずっと後ろを気にしながら走る状況できつかった。出来れば前を追いかけたかった。セクター3では自分の方が速かったので、スプーンなどでミスさえしなければ抜かれることはないと思っていたが、ラスト1周まで気が抜けなかった。今後の課題だと思っている。