4月3日(土)~4日(日)、静岡県富士スピードウェイで2021年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズの開幕戦が開催された。昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、変則的な年間スケジュールと各週末のタイムスケジュールとなったが、今シーズンは万全の感染防止策を講じたうえで例年どおり土曜日に90分間のフリー走行と公式予選を、日曜日に30分間のフリー走行と決勝レースを行なうスケジュールでイベントが進行した。
土曜日は薄い雲が空に広がるものの、時おり強い日差しも照りつける晴天となった。A組/B組に分かれて行なわれた予選Q1セッションを通過したHonda/M-TECユーザーは、#15 大津弘樹(RedBull MUGEN Team Goh)、#5 福住仁嶺 (DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#12 タチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)(以上A組)、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、#64 大湯都史樹 (TCS NAKAJIMA RACING)、そして病気療養中の牧野任祐に代わって#6のステアリングを握った 笹原右京 (DOCOMO TEAM DANDELION RACING)(以上B組)の6名。Honda/M-TECユーザーとして出走した7名のうち6名がQ2セッションへ進出し、ただ1人、昨年のシリーズチャンピオンで今季チームを移籍したばかりの#1 山本尚貴 (TCS NAKAJIMA RACING)のみがQ1セッションで敗退するという大番狂わせが起きた。Q2セッションに進出した6名のうち、#12 カルデロンを除く5名がQ3セッションに進出し、最終的には#16 野尻がポールポジションを獲得、2番手に #64 大湯、3番手に#6 笹原、4番手に#5 福住と続いて、Honda/M-TECユーザーがグリッド2列目までを独占した。日曜日、曇天のもと午後2時10分に決勝レースのスタートが切られた。ポールポジションからスタートした#16 野尻はわずかにクラッチミートを失敗し、好スタートを切った#64 大湯にトップの座を明け渡したものの2番手は堅守。その野尻の後方に#5 福住、#6 笹原が続く展開となった。一方、16番手グリッドからスタートした#1 山本は一気にジャンプアップし、1周目を10番手、2周目を9番手で終え、猛烈な追い上げを始めた。#16 野尻は当初、義務周回数の10周を終えた段階でピットインしてタイヤ交換を行なう作戦を考えていたが(先頭車両が10周目に入ってから最終周に入る前までにタイヤ交換を行なう規則)、その10周目に#64大湯のスキを突いてオーバーテイクに成功し先頭に立ったため急きょステイアウトへと戦略を切り替え、そのまま周回を重ね始めました。その後、#5 福住が#64 大湯を攻めて24周目に2番手へと順位を上げた。さらに、25周目には#6 笹原が#64 大湯をかわし3番手に浮上。4番手までポジションを落とした#64 大湯は25周目を終了したところでピットインし、タイヤ交換を行った。28周目には#5 福住、29周目には#6 笹原がピットインしたが、先にタイヤ交換を終えていた#64 大湯のペースが上がっているのに対し、福住と笹原はコースに戻った段階でちょうど小雨が降っていたためにタイヤの暖まりが悪く、ラップタイムを上げづらい状況に陥っていた。さらに、笹原はタイヤ交換作業で大幅なタイムロスを喫していた。29周目にはウエット宣言が発出されたものの、雨はそれ以上強まらず、各車ドライタイヤのまま走り続けた。#16 野尻はフィニッシュ2周前の39周目にピットインしてタイヤ交換義務を果たし、トップのままコースに復帰。最後は#64 大湯に1.5秒差まで迫られたものの、自身4度目となる優勝のチェッカーフラッグを受けた。2位に#64 大湯、3位に#5 福住が続いてHonda/M-TECユーザーが表彰台を独占したばかりか、5位に#6 笹原、6位に#1 山本が入賞。上位6名中5名がHonda/M-TECユーザーという大戦果を挙げて幸先のいい開幕スタートを切ることとなった。野尻智紀(TEAM MUGEN)開幕に向けて作ってきたモノがものすごく機能して、走り出しから非常に調子がよかったです。決勝スタートは、クラッチに対してちょっとだけ不安感を持っていて、それが自分の感覚にフィットしなかったため出遅れてしまいました。スタート直後の大湯選手はものすごく速かったのですが、5、6周目にはこちらに分があると感じていました。当初はミニマム(周回数)でピットインしようと思っていたのですが、その直前に大湯選手をかわすことができたので、ステイアウトに切り替えて最後まで引っ張りました。今日は『いつ雨が降るか』という難しい局面もありましたが、落ち着いて走ることができ、何よりチームとHondaには素晴らしいパッケージを用意していただいたので、僕は最後まで集中を切らさずやるべきことをやっただけです。今日の優勝は『勝たせてもらった』という感じがします。コロナ禍のなか、医療従事者の方々のご尽力に感謝申し上げたいと思います。大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)3戦連続で表彰台に上がることができました。一番の目標が表彰台だったのでそれを確実に獲れたという意味では満足しています。昨日から野尻選手が本当に速くて常に素晴らしいポテンシャルを発揮していましたし、週末を通して本当に力強かったと思います。僕は、序盤の速さだったり、タイヤを替えたアウトラップだったりの速さは見せられたと思うんですが、昨シーズンから続く、レースペースの悪さが今回も課題になりました。シリーズを戦ううえではこのままではいけない、もっと頑張らないといけないと思うのでチーム一丸となって次のレースに向けて準備していきたいと思います。福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)僕にとってこのチームで走るのは3年目ですが、エンジニアリングとマシンが少し変わり、昨年(山本)尚貴選手がチャンピオンを獲った万全の体制で走ることになって、自分なりにプレッシャーがありました。昨日の予選ではふがいない結果になって落ち込んでしまいましたが、チャンピオンシップのことを考えて少しでも前でゴールできるようにと頭を切り替えました。ロングランはテストの時から自信があって、実際にレースでは大湯選手に追いつくこともできました。ただ、雨が降ってきたタイミングでちょうどピットに入っていたためにアウトラップでなかなかタイヤを暖めることができず、また大湯選手に抜き返されて3位になりました。悔しい思いはありますが、着実にレースを終えることができたので、まずは皆さんに感謝しています。次の鈴鹿ではいいレースをして、僕自身成長できるように考えていきたいと思います。
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