マリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで迎えた第18戦シンガポールGP。灼熱と高湿度の中、FP1ではフェルナンド・アロンソがトップタイムを記録したが、FP2は赤旗が3度も出される大混乱のセッションとなった。マクラーレンがコンストラクターズタイトル獲得の可能性をかける週末、そしてオスカー・ピアストリがドライバーズ選手権首位を守る戦いの前哨戦。ここではクラッシュ、赤旗、無線、そして各チームの動きを振り返る。
序盤:マクラーレンが主導権、路面はまだ未知数FP2開始直後は全車がミディアム中心で走行開始。ピアストリがトップに立ち、ノリスがすぐ後ろにつける。アレックス・アルボンはFP1のブレーキトラブルから復帰し、周回を重ねて調整。アロンソはハードタイヤでも速さを見せ、ベテランらしい安定感を示した。一方、レーシングブルズ勢のリアム・ローソンとアイザック・ハジャーも序盤から上位に食い込み、ここシンガポールでの相性の良さを証明し始めていた。赤旗①:ラッセルがターン16でクラッシュ混乱の幕開けはメルセデスのジョージ・ラッセル。ターン16進入でリアを滑らせ、正面からウォールにヒット。フロントウイングを失いながらピットに戻るが、これで初めての赤旗。ラッセル無線:「(沈黙)…フロントを失った。戻る。」ジョリオン・パーマー(F1TV解説)は「バリアの潰れ具合を見ても相当な衝撃だった」とコメント。ラッセルはその後走行できず、FP2の大半を失った。赤旗②:ローソンも壁にヒット再開後、レーシングブルズのローソンがターン17で姿勢を崩し、フロントとリアの両方をヒット。右フロントタイヤはバースト、火花を散らしながらピット手前でストップし再び赤旗。ローソン無線:「やってしまった…右フロント壊した。」解説のパーマーは「シンガポールで攻めすぎた代償だ」と評した。これでローソンも貴重な走行時間を失い、代表的な“罠”コーナーの犠牲者となった。赤旗直後:ピットレーンでルクレールとノリスが接触2度目の赤旗が明ける直前、さらに信じられないシーン。ピット出口でフェラーリのシャルル・ルクレールが放出され、すでに並んでいたマクラーレンのランド・ノリスとサイド・バイ・サイドに。狭いピットレーンで接触し、ノリスがウォールに押し付けられてフロントウイングを損傷。即座にガレージへ戻された。FIAは「ルクレールのアンセーフリリース」を調査対象と発表。通常は罰金で済むことが多いが、今回は相手が実際に被害を受けたため厳しい裁定の可能性がある。終盤:混乱の中で光ったピアストリとハジャー残り10分を切ると、マックス・フェルスタッペンがソフトで1分30秒857を叩き出しトップへ。しかしアロンソが0.020秒差で続き、アストンマーティンの健在ぶりを示す。一方でピアストリは周回を重ねたソフトでも安定した速さを見せ、最終セクターを完璧にまとめて再びトップに返り咲いた。ランド・ノリスはフロント交換後に走行するも、チームメイトに0.5秒届かず。ここで意地を見せたのがハジャー。バクーで苦戦した若手は、8周落ちのソフトにもかかわらずピアストリからわずか0.132秒差の2番手。ハジャー無線:「やっと決まった。この調子で行ける。」対照的に、ガブリエル・ボルトレトはトラフィックに阻まれて「○○なトラフィックだ!」と激しく苛立ちを無線でぶちまけた。その他の注目場面・ハミルトンはウォールに軽く接触、オリー・ベアマンもターン16で危うくクラッシュしそうに。・ニコ・ヒュルケンベルグはターン17でスライドし、ローソンと同じく壁ギリギリで難を逃れた。・サインツやオコンも好タイムを出し、ハースは上位争いの兆しを見せた。最終結果と勢力図セッション終盤にピアストリが1分30秒7台でトップ、ハジャーが+0.132秒差で2番手、フェルスタッペンがさらに0.143秒差で続いた。アロンソも常に上位に絡み、上位4名の差はコンマ2秒という僅差。ただし、赤旗が3度も出たことで各チームのロングランデータはほぼ皆無。メルセデスはラッセルのクラッシュで未知数、アンソネッリもクリーンラップを得られず、序列は依然不透明なままだ。まとめ:予選に向けた展望FP2は3件のクラッシュとピットレーン接触という大波乱。チームは走行計画を崩され、データ不足のまま土曜の予選に挑むことになる。ピアストリはバクーでの失敗を払拭する力強い走りを見せ、フェルスタッペンとアロンソも速さを示した。ノリスとルクレールの接触の裁定次第では予選に波乱が残る可能性も高い。明日のFP3と予選は混戦必至の展開となりそうだ。
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