ザウバー・モータースポーツは、アウディのワークスチームとしてのF1参入に向けて、イギリス・オックスフォードシャー州ビスターに新たな技術拠点を正式に開設した。アウディは2026年にF1へ初参戦する予定で、スイスのチームであるザウバーを完全買収し、自社ワークスチームとして体制を構築する。
その準備の一環として、スイス・ヒンウィルの本部とドイツ・ノイブルクのパワーユニット部門に加え、第3の拠点としてイギリスの「モータースポーツ・バレー」地域への進出を今春発表していた。この地域は、イングランド南東部およびミッドランド地方を含み、現在F1チーム10のうち7チームが拠点を置く。現地採用の技術者が多く在住しており、アウディはこの優れた人材にアクセスすることを狙っている。ザウバーは7月1日、英ビスター・モーション内の「サウバー・モータースポーツ・テクノロジー・センター(SMTC)」の開設を正式発表した。ビスター・モーションはオックスフォードシャー州に位置する総面積444エーカーの複合施設で、複数のモータースポーツ関連企業がすでに拠点を構えている。アウディF1プロジェクト責任者のマッティア・ビノットは次のように語った。「ビスター・モーションに『サウバー・モータースポーツ・テクノロジー・センター』を開設できたことは、アウディのF1参戦準備における重要なマイルストーンだ。この施設により、モータースポーツ・バレーに存在する優秀な人材の力を活用し、技術力をさらに高めることができる」「ビスター・モーションは活気あるモータースポーツのハブであり、この場所に身を置くことで、まさに『モータースポーツを感じながら生きる』ことができる。我々にとって、ヒンウィル拠点を支えるこのイギリス拠点の存在は、長期的な成功に不可欠となるだろう」この新拠点の運営費用は2026年のF1予算制限(コストキャップ)に含まれない予定であり、ザウバーにとっては財政的な柔軟性が生まれる。ザウバーは長年、スイス国内の生活費の高さによって人件費が増大し、他チームに比べて不利だと主張してきた。ビスター・モーションのCEOであるダニエル・ジョゲイガンも歓迎の意を示した。「ザウバー・モータースポーツがビスター・モーションをイギリス拠点として選んでくれたことを心から歓迎する。これはアウディF1プロジェクトの変革におけるエキサイティングなステップだ」「彼らは、持続可能性、革新性、そしてモータースポーツにおける最高のパフォーマンスというビジョンを支えるために、スイス・ドイツ両拠点と連携しながらここを活用していく。すでにモータースポーツUKや数多くの先進的自動車・航空関連企業が集うこの地で、ザウバーのチームがどのように成長していくのか、楽しみにしている」なお、2025年F1シーズンにおけるザウバーは現在コンストラクターズランキングで下から2番目に沈んでおり、ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレートの両名が2026年もチームに残留することがすでに決定している。