佐藤琢磨が、2020年のインディ500優勝時に披露した“グリコポーズ”について語った。第104回インディ500でインディ500で2度目の優勝という快挙を成し遂げた佐藤琢磨。表彰台で“グリコポーズ”を披露したことでSNS上で大きな話題となった。
2017年にインディ500を初制覇した際にスポンサーであるグリコは、大阪・道頓堀の巨大看板「グリコサイン」に両腕を掲げて喜びを表現する佐藤琢磨の特別映像を流して功績をたたえた。その時の佐藤琢磨はのガッツポーズはグリコポーズに似ていたが、SNSでファンは「左足を上げてたら完璧だった」と指摘。佐藤琢磨も「今度やってみる笑」と完全版“グリコポーズ”の再現に意欲を示していた。今回、佐藤琢磨はレース後の記念撮影で両腕と左足を上げた完全版の“グリコポーズ”を披露。グリコもTwitterで「セレモニーでのポーズもありがとうございます」とコメントしていた。日本向けに行われたオンライン記者会見で佐藤琢磨がグリコポーズに込めた思いなど語った。「勝った後のグリコポーズですが、もちろんファンの方からの提案でした」と佐藤琢磨は語る。「僕が最初に勝ったときに自然と出たクルマの上に立ってガッツポーズをしたものが、グリコさんのポーズに非常に似ているということでした」「でも、『せっかくだったら完全なグリコポーズをやってほしい』というリクエストがSNSでもありましたし、実はファンクラブ内のやりとりでもありました。『次できるような機会があったらやってみる』と答えていました」「今回は本当にむしろあれがやりたいがために勝ったみたいな(笑)。それくらいうれしかったです」完全版のグリコポーズは、今年からインディカーに導入されたコックピット保護デバイス『エアロスクリーン』によって実現した。「実際、これまでのマシンだとフォーミュラカーなのでコクピットがオープンで開いています。普通はそのままその場で立ち上がると仁王立ちになります。右足、左足をコクピットのサイドウォールにかけるので。立ち方が大の字になってしまう。その状態で片足を上げるのは不可能なんです」と佐藤琢磨は語る。「今回、エアロスクリーンが付いたことで、フレームが後ろにつながっていて真ん中に立てるんです(笑)。ただ、真ん中に立てるのですが、上から見るとフレームの幅が少ししかなくて、ものすごい不安定です。まず両足で立ってみて、これちょっと倒れたらかっこ悪いなと思ったのですが、立ってみたら立てたので『あー、これはやっちゃおうかな』と思って、片足を上げて完璧なグリコポーズをやってみました!」「ファンの皆さんが待ち望んでいたことというのもありますし、私自身がグリコさんと近いポジションで、特に子供たちのキッズカート『復興地応援プロジェクト“With you Japan”』プログラムを支援していただいているというところから、そんな気持ちになってやってみました」インディ500で複数回の優勝を果たしたのは佐藤琢磨が史上20人目。現役ドライバーでは佐藤琢磨だけという偉業だ。「多分これから、徐々に実感するんじゃないかなと思います」と佐藤琢磨は語る。「本当に毎朝『これ凄いことなのかな?』という感じで。でも、その凄さというのが正直自分の中では消化し切れていないので分かんないです」「でも、関係者に言われて『そうかぁ』と自分で改めて思って、これが2回勝つということなのかなっていう風に少しずつ消化し始めています。ただ、これまで偉大なドライバーたち、本当に伝説的なドライバーたちの名前が複数勝利に刻まれていますが、その中に自分が入るなんて夢にも思っていなかったので正直実感がないです」「一つ言い忘れていましたが、今回の2勝目が僕の中で大きな意味を持つのは、レイホールのチームでインディ500に勝てたということです。アンドレッティでの優勝(2017年)は自分自身の夢を叶えることができましたけど、今回の優勝は本当にすべてをチームに捧げたいです」「なぜかというと、2012年にレイホールがインディカーチームとして再結成して再出発した最初の年のドライバーとして僕を選んでいただきました。ほとんどの方がご存じだと思いますけど、(2012年のインディ500は)最終ラップにトップ争いをして、当時絶対的なチャンピオンであったダリオ・フランキッティに挑戦して、結果的には失敗しているのです。失敗して1コーナーでクラッシュしています」「チームのオーナー、メカニックたちがどれだけ楽しみに1勝を待っていたか考えると、まあもう本当にいたたれないですね。その思いを8年越しにかなえることができて、自分のボスであるボビー・レイホール、デイビット・レターマン、そしてもう一人、マイク・ラニガンと3人います」「マイク・ラニガンに関してはほとんどの方が知らないと思いますが、ものすごい成功したビジネスマンです。僕は彼に本当にこのすべての勝利をささげたい。なぜかというと、マイク・ラニガンが金銭的な支援をしてくださっています。もちろん、たくさんの企業の方々から支援を受けて走行できているのですが、一番左上にあるMI-Jackのオーナーなのです。彼が走る活動資金の不足分を補足してくれています。その彼が、ずっと僕がAJフォイトで走っている4年間、そしてアンドレッティで勝ったときも、『いつ戻ってくるんだ』という話をずっとしてくれていた。そして30号車を用意してくれた」「その30号車の用意をしてくれた1年目は大失敗をしまして。2年目は3位だった。じゃあ、次はということで今年もチャンスをくだれた。そして恩返しができたというところが、僕の中ですごく大きいです。現役の30号車のメカニックの中には、当時12年のチームメカニックだった人も入っています。チーフメカがナンバー2になるというのはほとんどないのですが、今回彼はそれさえも受け入れてくれてメカニックをやってくれています」「そういう素晴らしい仲間に支えられて、チームオーナーに支えられて、メカニックたちに支えられて、エディ・ジョーンズという本当に素晴らしいエンジニアがクルマを作り上げてくれて。そういう仲間と一緒に勝てたことが僕の中ではすごく大きかったです」