ダニエル・リカルドが、レッドブルからルノーへ移籍を決意する要素のひとつにレッドブル・レーシングが2019年からホンダのF1パワーユニットを搭載することを決断したことにあったのではないかとの見方が多い。メルセデスやフェラーリへの移籍の可能性が低くなったダニエル・リカルドは2019年もレッドブル・レーシングに残留することがほぼ確実だと見られていた。
実際、Daily Mail は、レッドブルがダニエル・リカルドの1年契約を受け入れて条件は合意されており、すでに契約発表用の動画の撮影を終了していたと報じている。では、なぜダニエル・リカルドはルノーへの移籍を決断したのか。ルノーは、メルセデスやフェラーリに匹敵できるパワーユニットを生み出すことができておらず、ワークス復帰してからまだ一度も表彰台に挙がっていない。2017年にルノーに加入したニコ・ヒュルケンベルグは表彰台未登壇の最多出走記録を保持している。ダニエル・リカルドは、2014年にF1がパワーユニット時代に突入して以降、勝利を収めているわずか6人のうちのひとりだ。だが、ルノーはグリッドのトップに返り咲くことを目指して、ファクトリー、インフラ、チーム人員に多額の投資を行ってきた。ライバル勢もそれには気づいており、2021年にF1に新しいパワーユニットレギュレーションが導入された際には、ルノーがタイトル候補の一角になるとの見方が多い。一方、ホンダは今年トロロッソとの新たなパートナーシップを開始し、過去3年と比較すれば大きな改善を示している。だが、だからといって、ライバル3社を倒してタイトル争いに加われるという説得力のあるパフォーマンスを示せていないのは現実だ。マクラーレンは、ホンダとのパートナーシップを3年間で打ち切り、今年からルノーのF1エンジンを搭載している。期待していたほどのパフォーマンスを発揮してはおらず、フェルナンド・アロンソというドライバーの実力が大きく関与しているとは言え、昨年コンスラクターズ選手権で敗れたトロロッソに24ポイント差をつけてリードしている。マクラーレンは、ルノーへの切り替えを発表した際、ルノーのF1での膨大な経験を理由のひとつにあげていた。ホンダは2015年に7年ぶりにF1に復帰を果たしたが、その間もルノーはF1に留まり、パワーユニット時代にも勝利を挙げている。マックス・フェルスタッペンは2020年まで契約を延長したが、そのときにはまだホンダのF1パワーユニットに切り替えることは決定していなかった。実際、ダニエル・リカルドは、ルノーのF1パワーユニットを搭載するマクラーレンへの移籍を検討していたとされている。今年7月にレッドブル・レーシングがホンダのF1パワーユニットを搭載することに完全に納得しているかと質問されたダニエル・リカルドは「たぶんホンダを運転してみるまで100%は分らないと思う」と語っている。「もちろん、チームからは何度も聞いているし、彼らはその理由を伝えてくれている。僕にとって重要なことは、彼らがなぜそうしたのか、それがただの感情だけではないことを理解することだ。『ルノーとの関係はもう何をしてもダメだ。何かを変えたいから変える』といった感じではなくね」「もちろん、彼らは宿題を終えたし、彼らはそれがただの感情的な決断ではなく、良いことだと強く信じている。彼らはそれを実現させて僕に希望を与えるためにやれることをやってくれた」だが、レッドブル・レーシングとルノーの関係はもはや修復不可能なまので崩壊しており、現在でも舌戦を繰り返している。レッドブル・レーシングにとってホンダの“ワークス”ステーテスは非常に魅力的ではあるが、そこに感情的な要素がなかったといえば嘘になるだろう。また、チーム内の待遇にも問題があったと考えられている。レッドブル・レーシングはマックス・フェルスタッペンとの契約を延長した際、“フェルスタッペンを中心にチームを作る”旨の発言をしてリカルドを傷つけた。ルノーとともに移籍交渉をしていたマクラーレンのザク・ブラウンは以下のように語っている。「彼はチームを出たいという強い願望を持っていたと思う」次の移籍先ではワールドチャンピオンを獲得したいと考えていたダニエル・リカルドにとって、チームに明確な“ナンバー1”が存在することは受け入れられることではないだろう。ルイス・ハミルトンにしろ、セバスチャン・ベッテルにしろ、チャンピオンを獲得したドライバーは、チームは否定してはいるものの、勝利が優先させたことは間違いない。ルノーは、ダニエル・リカルドに2000万ポンド(約28億9000万円)の2年契約を結んでいると報じられている。それが事実であえば、550万ドル(約6億1800万円)と推定されるニコ・ヒュルケンベルグのおよそ4倍の金額であり、事実上のナンバー1ドライバーの待遇だと言える。
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