ルノーは、F1チームのスタッフの雇用に苦労していることを認める。その主な理由として、ルノーの野心とコミットメントがどこまで本気なのかを信じてもらえないことを挙げた。今年、ワークスチームとして復活を遂げたルノーだが、チームの人員数はロータス時代の末期にかなり減少していたため、昨年12月にロータスを買収した直後から人材の拡充を推し進めている。
だが、ルノーのマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、まだチームの人員数は足りておらず、ルノーが誘いをかけた人々がチームに加わることをためらうケースが少なくないと語る。「人事面では、計画に対して遅れが生じている」とシリル・アビテブールはコメント。「質的にも量的にも、我々が望んでいたように迅速にスタッフを集めるのは予想したよりもずっと難しい」「もちろん、他チームの契約下にある人は、ルノーに来たいと思っても、現在の契約を解消するにはある程度の時間がかかる」「だが、それ以前の問題として、我々はまず移籍に応じてくれるように彼らを説得しなければならない。正直なところ、その段階でかなり苦労している。なぜ理解してもらえないのか、私にはよくわからないが、我々が高い目標を掲げ、ルノーもこのプロジェクトに本気でコミットしていることがなかなか信じてもらえないようだ」「是非とも我々のこのプロジェクトにへの本気度を理解してもらいたい。信じてもらうには、言葉だけではなく、行動でも示す必要があるということだろう」ルノーの募集に対し、早い段階で移籍に同意した人々は来月あたりからチームで仕事を始める予定だとシリル・アビテブールは語る。「残念ながら、今年のクルマにはもう間に合わない。だが、新たなスタッフが加わった効果は来年のクルマのパフォーマンスで証明されるはずだ」ルノーの本気度に懐疑的な人もいるなかで、シリル・アビテブールは、現在の約500人の従業員数を今年末までに590人に増やしたいと考えている。「特に拒否反応が強かったのは何人かのエンジニアだ。彼らの名前をあげることは控えるがね。だが、我々がもっと簡単に説得できると考えていたのは事実だ。それにチーム買収後にも何人かのスタッフを失った。それもやはり、我々にはトップチームに返り咲く能力があると信じてもらえなかったからだろう」「彼らの気持ちもある程度は理解できる。周囲のチームのレベルを見れば、我々がエンストンを離れていた6年間に状況が大きく変わってしまったことを痛感する。今のところ、我々は下位チームであるという現実を受け入れざるを得ないし、我々が求めているのは、その事実に立ち向かえる強さを持った人々だ」ルノーが、フェラーリのテクニカルディレクターを辞職したジェームス・アリソンの獲得を狙っていると推測する人は多い。シリル・アビテブールは「我々はジェームスを尊敬している。彼は素晴らしい人物であり、エンジニアとして優れたクルマを作ってきた。そして、彼はエンストンのチームを良く知っている。もし彼がルノーに来なかったとしても、それは我々がジェームスには関心がなかった、あるいは彼を欲しがらなかったからだとは思ってほしくない。我々は彼を高く評価している」「いずれにせよ、現在は今のチーム組織をうまく機能させようと努めているところであり、それが最優先課題だ」