2026年F1に向けて、メルセデスのパワーユニットが「打ち負かすべき存在」になるとの噂が広がっている。しかし、レッドブル・パワートレインズ(RBPT)の技術責任者ベン・ホジキンソンは、その多くはメルセデス自身によって作られたものではないかとの見方を示した。2026年からF1は新世代パワーユニット時代に突入する。1.6リッターV6という基本アーキテクチャは維持されるものの、バッテリーとエネルギー回生システムは大幅に強化され、内燃機関と電動要素の出力比はほぼ50/50に近づく。
パドックでは、この新レギュレーション初年度において、再びメルセデスが主導権を握るのではないかという憶測が飛び交っている。「空き缶ほどよく音を立てる」ホジキンソンは、米デトロイトで行われたレッドブルのローンチイベントに先立つメディアラウンドテーブルで、次のように語った。「多くの話は、メルセデス自身から始まったのだと思う。祖母がよく言っていた。『空き缶ほどよく音を立てる』と」ホジキンソンは、イルモア時代からメルセデスHPPに在籍し、約20年にわたって同社のパワーユニット開発に携わってきた人物だ。2022年にHPPを離れ、RBPTに加わった彼は、メディアで語られる「メルセデス有利論」の背景について、次のように説明した。「本当の意見は、あまり口にできない部分もある。ただ、メルセデスがベンチマークになると信じられているという報道はかなり多い。その多くは、彼ら自身から始まったのだと思う」「ドライバー市場は非常に厳しく、当時はマシンが十分に競争力を発揮していなかった。そうした状況で人材を引き寄せるため、ポジティブな話を広めようとしたのだろう」「誰もが政治的なポジショニングをしなければならない。噂を何度も繰り返せば、やがて事実のように信じられ、人々はその理由を探し始める。そうやって話が出来上がったのだと思う」RBPT初の本格成果に向けて2026年のRBPT製パワーユニットは、ホジキンソンにとって約5年ぶりに本格的に関与したエンジンとなる。レッドブルが完全自社開発メーカーとして臨む初の挑戦に、彼は静かな意欲を示している。「とにかく目の前の仕事に集中したい。結果がすべてを語ってくれると思っている」「メルセデスは非常に優秀なパワーユニットメーカーだ。私は20年間そこで働いてきたから、内部をとてもよく知っている」「ここでは、過去よりもすべてを良くすることを意識してきた。自分自身を歴史と比較してベンチマークできるし、今どこにいるのかも分かっている」「4年間レースをしていないような感覚だった。ただ走り出すのが楽しみだ。あとは結果を見るだけだ」メルセデス側は噂を一蹴一方、メルセデスHPPは2026年に向けて、ワークスのメルセデスF1に加え、マクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌへパワーユニットを供給する体制を整えている。2025年末に配信されたポッドキャスト「Beyond the Grid」で、メルセデスのCEO兼チーム代表であるトト・ヴォルフは、メルセデスが“本命”と見なされている現状について問われ、次のように語っている。「決して自信過剰にはならない。我々は常にグラスは半分空だと考える人間だ」「家の中に敵がいるところから始まる。今年は同じメルセデス製パワーユニットを使うマクラーレンの方が優れたチームだった」「仮にパワーユニットが優れていたとしても、ウィリアムズ、マクラーレン、アルピーヌを倒さなければならない。だから、こうした噂話に惑わされることはない」さらに、メルセデスHPPのマネージングディレクターであるハイウェル・トーマスも、噂に対して慎重な姿勢を示した。「序列について言えば、我々は十分なパワーがあるとも、信頼性が足りているとも、最高だとも思ったことはない」「常に少し遅れていると考え、もう一歩を求め続けるのは悪いことではない」「正直なところ、開幕戦までにどれだけのパワーを得られるのか私自身も分かっていない。なぜ他のチームがそれを知っているのか、不思議でならない」2026年F1の新レギュレーション初年度を前に、再びパドックでは噂が先行している。しかし、真の序列が明らかになるのは、サーキットで結果が示されたときだ。