レッドブルは2026年に投入する初の自社製パワーユニット(PU)について、既存メーカーに対して出遅れることを受け入れている。しかし、その差がどれほどになるのかが注目されている。初めて自前でPUを製造するレッドブルが、メルセデスやフェラーリといった巨頭といきなり互角に渡り合えると考えるのは楽観的すぎる。実際、クリスチャン・ホーナーは、もしそれが実現すれば「恥ずかしい」とまで語っている。
一方で元チーフデザイナーのエイドリアン・ニューウェイは、2026年のF1は「エンジンフォーミュラ」になる可能性を示唆しており、シャシーを完璧に仕上げたとしても、出力不足があればマックス・フェルスタッペンの戦闘力を削ぐ恐れがある。現時点でのパドックのコンセンサスは、メルセデスとフェラーリがリードしているというものだ。加えてアウディが新規参入し、ホンダは供給先をレッドブル2チームからアストンマーティンへと切り替えた。レッドブルPUはベストから0.2秒遅れか元F1解説者のジェームス・アレンは、自身のポッドキャストで「非常に信頼できる筋」からの情報を明かした。それによると、レッドブルは当初エンジン面でラップあたり約0.2秒を失う見込みだという。これはあくまで推定値だが、「エンジンビルダーのコミュニティ」から得られたものだ。参考までに、現状コンストラクターズ最下位のアルピーヌは0.3〜0.35秒を失っているとされる。今年初めの報告では、レッドブルのPUはベンチテストで1周を終える前にエネルギーを使い切ってしまうと伝えられていた。現状ではバッテリーが出力の50%を占めるが、ミルトンキーンズのチームはその割合を減らしたい考えだ。ジェームス・アレンの証言「数か月前、とても信頼できる筋から『エンジン面でコンマ2秒ほど遅れるだろう』と聞いた。エンジンビルダーの間でそのような話が広まっている」とアレンは語った。「アルピーヌが現在0.3〜0.35秒遅れていると考えれば、それが彼らのパフォーマンスにどんな影響を与えているか分かる。レッドブルが来年どんな状態かを想像できるだろう」「さらに来年は空力の大幅変更も加わるので、誰が成功するかを予想するのは非常に難しい」ルール変更が救いになる可能性2006年から2021年までレッドブルに在籍したダン・ファローズは、過去に2度の大規模レギュレーション変更を経験している。2009年はブラウンGPに後れを取ったもののシーズン終盤に戦闘力を発揮し、2014年はメルセデスに主導権を奪われた。ファローズは「レッドブルは序盤に出遅れても開発力で猛烈に追い上げるチーム」と指摘する。2022年のグラウンドエフェクト導入初年度も、当初はフェラーリと拮抗していたがすぐに差を広げてタイトルを獲得した。「レッドブルの強みは非常に強力な技術チームで、短期間で新車を必要なレベルに引き上げられる点だ。革新的なコンセプトを最後までやり切る能力を持っている」「また、各部署の連携も素晴らしく、製造施設も迅速に対応できる。技術面での意思疎通も優れており、これが過去においてシーズン中の開発力を最大の強みにしてきた」「今回は初めてのPU開発という途方もない挑戦だ。仮に少し劣っていても驚くには値しない。だが出力の均衡化ルールが導入される予定で、それが有利に働く可能性もある。初年度からタイトル争いできると期待しているわけではなく、まずは堅実なベースを築き、できるだけ早く上位に食い込んでいくことを目指しているだろう」とファローズは述べた。