レッドブルの本拠地ミルトンキーンズで行われた水曜朝のスピーチで、チーム代表およびCEOを電撃解任されたクリスチャン・ホーナーは、自身の退任が「大きな衝撃だった」と語り、20年間にわたる在任期間を涙ながらに振り返った。前日の夜に通達を受けたばかりという今回の決定により、ホーナーはレッドブル・レーシングを率いた20年のキャリアに終止符を打つことになった。
彼は在籍中にチームをF1屈指の強豪へと押し上げ、8度のドライバーズタイトル、6度のコンストラクターズタイトル、そして124勝をもたらした。Sky Sportsが公開した映像には、ホーナーがスタッフを前に最後の挨拶を行う様子が映し出されている。「昨日、レッドブルから『この集まりを最後に、今後は業務上チームにも会社にも関与しない』と通達を受けた。私は引き続き雇用関係にはあるが、業務は引き継がれる。それは私にとって衝撃だったが、この12時間で色々と振り返る時間が持てた」51歳のホーナーは、直接この知らせを伝え、これまでの感謝を自らの言葉で伝えたかったと述べた。「この場に立って皆さんに直接伝えたかった。そして、ここで働いてくれたすべてのメンバー一人ひとりに感謝の意を伝えたい。私はこのチームに20年半在籍した」ゼロから築いたレガシーホーナーは、2005年にスチュワートGPをルーツとするジャガーF1を引き継いでプロジェクトを始めた当時を振り返った。「20年前、今より白髪も少なかった頃、私はこのチームに来た。何が待っているか分からなかったが、すぐに歓迎された。そして、荒れた2つの建物からスタートし、我々はF1でのパワーハウスを築き上げた」「このチームの一員でいられたことは、私の人生最大の特権だった。このチームの歩みを見届け……」と語ったところでホーナーは感極まり、言葉を詰まらせた。スタッフからは大きな拍手が起こり、そのリーダーシップへの感謝が表れた。現地から中継していたSky Sportsのデイビッド・クロフトも、スピーチの様子を次のように報じた。「我々が話を聞いた限りでは、スタッフの間に広がっていたのは失望と悲しみの感情だった。ホーナーはどんな役割の人にも気軽に話しかける人物であり、チームを団結させてきた存在だった。スピーチは非常に感情的で、ホーナー本人も何度か声を詰まらせたという」クロフトによれば、ホーナーは水曜朝に約90分間ミルトンキーンズのファクトリーに滞在。その後、午前11時25分に車で静かにその場を後にした。「彼は無言のまま、まっすぐ前を見つめながら車を運転して出ていった。手を振ることも、親指を立てることもなかった。彼がこの場所を離れるのは、これが最後になるように見えた」SNSでも別れのメッセージスピーチ後、ホーナーはInstagramでも別れの想いを綴っている。「20年という素晴らしい旅路を共に歩んだ後、心が重くなる思いで、今日この愛すべきチームに別れを告げる」「ファクトリーにいる素晴らしい仲間たち、一人ひとりが、我々の成し遂げてきたすべての中心であり、魂そのものだった」「勝っても負けても、どんなときも我々は一丸となってやってきたし、そのことは決して忘れない。これほど素晴らしいチームの一員として、そしてそれを率いる立場にいられたことを誇りに思う。我々の成果のすべてを誇りに思っている」後任はローラン・メキースレッドブルの親会社は同日、ホーナーの後任としてレーシングブルズのチーム代表を務めていたローラン・メキースが、新たにチーム代表兼CEOに就任すると発表した。レッドブル・レーシングはホーナーの退任に関して簡単な声明を発表したが、その理由については明かしていない。突然の別れとなったが、ホーナーの20年間の軌跡は今後も語り継がれることだろう。F1で通算14の世界タイトルをもたらしたそのリーダーシップは、ミルトンキーンズに深く刻まれている。