レッドブルF1のアドバイザーであるヘルムート・マルコは、モナコGPで自らが想定していた“プランB”のシナリオが現実になったと語り、マクラーレン内部でのドライバー序列の曖昧さがその鍵になったと指摘した。マルコはモナコGP前、「仮に今回も我々のマシンにとって不向きなレースとなるなら、せめてランド・ノリスが復調して、マクラーレンのチームメイトで選手権首位のオスカー・ピアストリを打ち負かしてほしい」と述べていた。
実際、マックス・フェルスタッペンは予選・決勝ともに4位に終わったが、選手権争いにおけるマクラーレン勢との差は最小限に抑えられた。「そのとおり、今回はノリスが勝ってピアストリは3位だった」と、82歳のマルコはオーストリア紙『Osterreich』に語った。マクラーレンは2人の強力なドライバーを抱え、しかも“平等方針”を採用しているが、フェルスタッペンはチームメイトとポイントを分け合う必要がない。マクラーレンがどこまでノリスとピアストリの間でポイントの奪い合いを許すのかと問われると、マルコは笑いながら「それはマクラーレンに聞いてくれ」と返した。一方、モナコを除けばレッドブルF1陣営は前向きなムードに包まれている。フェルスタッペンは、最新アップデートによりポールポジションと勝利を取り戻したイモラのような週末を、次戦スペインGPでも再現できると期待している。「それが我々の望みだ」とマルコも同意。「バルセロナでも予選が非常に重要になる。あのサーキットもオーバーテイクが難しいからな。ただ、タイヤが摩耗すれば、スタート・フィニッシュのストレートやバックストレートでの追い抜きの可能性は残る」さらに、今週末のスペインGPから始まるフロントウイングの柔軟性規制強化についても、マクラーレンにとって不利に働くのではないかという声がある。「そう言われているな」とマルコはコメント。「本当にそうなるかどうか、興味深く見ている」また、F1ベテランのフェルナンド・アロンソも火曜日に、現在ピアストリに25ポイント差をつけられているフェルスタッペンが、5連覇に向けて巻き返す可能性について質問された。「排除はできない。彼はF1の天才の一人だから」とアロンソはスペイン紙『El Mundo Deportivo』に語った。「エイドリアン・ニューウェイについて語られるときのように、特別なことができる存在だ。フェルスタッペンもそれができる。実際に今年もそうしているし、タイトル争いから外れるような存在ではない」「とはいえ、今回の戦いは彼にとってこれまでで最も厳しいものだ。今はマクラーレンが有利かもしれない」とアロンソは結んだ。一方、フェルスタッペンの父でありマネージャーでもあるヨス・フェルスタッペンは、レッドブルが現在の体制でドライバー陣を納得させており、マックス側が契約の解除条項を発動する可能性は低いと示唆している。「レッドブルは、彼がチームにいることを非常に喜んでいるはずだ。そして、チームもそのことを理解していると思う」とヨスはオランダ紙『De Telegraaf』に語った。「彼はとても素直で素晴らしい若者だが、怒らせてはいけない。怒ると非常に手厳しくなる。でも、チームが勝利のために全力を尽くしていると感じていれば、そんなことはない。今のところ、彼はそう感じていると思う」