レッドブル・ホンダは、F1トルコGPの週末にドライコンディションでメルセデスに歯が立たなかった。予選までマックス・フェルスタッペンは一度もドライでルイス・ハミルトンを上回ることができず、予選Q3では0.368秒という大きな差がついた。レッドブル・ホンダがF1ハンガリーGP以来となる競争力のない週末を過ごしている原因はどこにあるのか? F1ジャーナリストのマーク・ヒューズが技術的な観点で分析した。
マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスは、問題のひとつがアンダーステアであること以外に答えを見つけられていない。「今日は少し良くなった」とフェルスタッペンは振り返る。「しかし、週末を通してバランスが決まっていなかったし、思ったように機能させることができなかった」手がかりは、問題はタイヤの使い方にあるというマックス・フェルスタッペンの主張にある。「ターマックに関連していると思う。そして、僕たちはまだそれを攻略できていない」「これはユニークなマシンだ」とセルジオ・ペレスは語る。「以前に運転したマシンとはまったく異なる」イスタンブール・パークの路面の改善による大規模なグリップは、レッドブル・ホンダのハイレーキコンセプトのシャシーにバランス問題を引き起こしたとマーク・ヒューズは分析する。ハイレーキは、フロントとリアに作用するダウンフォースのバランスポイントがローレーキよりも低速コーナーで劇的に変化する。そして、ダウンフォース負荷は様々なスピードでタイヤに作用する。基本的に低速コーナーではバランスは前方にシフトし、リアが不安定となる。その決定のひとつだ、タイヤにとって最適なスリップアングル(進行方向とタイヤの向きの差)のスイートスポットが狭くなることだ。タイヤは約3%のスリップアングルで最もグリップする。そして、リアタイヤはフロントタイヤに負荷がかかって初めて、旋回求心力を蓄積し始めることができる。フロントタイヤが操舵時に最適なスリップアングルを生成しない場合、リアタイヤも最適なスリップアングルに到達しない。スイートスポットは、ステアリングを回して、フロントタイヤがリアにすばやく負荷をかけるのに最適なスリップアングルが生じる場所だ。しかし、リアに負荷がかかるまでには時差がある。エアロバランスが前進すればするほど、そのスイートスポットは小さくなり、遅いコーナーと速いコーナーの間のスイートスポットの変動が大きくなる。したがって、ハイレーキの車は、ウイングレベルの選択が重要になる傾向がある。リアアクスルに作用するダウンフォースは、リアタイヤが過負荷になるのを防ぐのに役立つ。リアが抵抗するほど、マシンはより積極的に操縦することができる。しかし、路面のグリップが大きいほど、リアタイヤは最適なスリップアングルを達成するのに抵抗力がある。路面のグリップは、どのマシンでも最適なウイングレベルを定義する上で重要な役割を果たすが、ハイレーキではより重要になる傾向がある。路面のグリップが上がると、リアタイヤがフロントよりも大きくてパワフルになるため、一般的にアンダーステアが大きくなる。グリップのある路面は、フロントタイヤとリアタイヤの容量を同じ割合で増やしますが、合計は同じではないん。比率は同じだが、リアの方が多くなっている。つまり、フロントよりもリアの方がグリップが向上する。その場合、リアウイングのレベルを低くする方が適切だ。また、硬いタイヤよりも柔らかいタイヤでその傾向は現れる。ここでのさらなる手がかりは、セルジオ・ペレスのQ3のパフォーマンス。新品のソフトでは、ユーズドのソフトよりもほとんど速くラップすることができなかった。「リアグリップをたくさん得ることができたが、アンダーステアが多すぎた」とセルジオ・ペレスは報告している。レッドブル・ホンダと同じように苦戦しているマクラーレンのランド・ノリスは「この路面と柔らかいタイヤは、僕たちのマシンを運転に良い組み合わせではない。ハードタイヤとミディアムタイヤの方が少しいい。以前はこのマシンで良い組み合わせを持っていた」と語っている。では、なぜレッドブル・ホンダは単にウイングレベルを下げなかったのか? 金曜日にセルジオ・ペレスはダウンフォースの低いスプーン型のウイングでマックス・フェルスタッペンよりも速かった。おそらく、今年のイスタンブール・パークの路面は、レース中に非常に高いタイヤデグラデーションをもたらすように設定されているように見えるためだ。タイヤの角度を最小限に抑える最良の方法は、より多くのダウンフォースを使用することだ。結果的に、レッドブル・ホンダのイスタンブール・パークでの苦戦は、1年前からの路面の向上、1段階柔らかくなったタイヤに対して、適切なウイングレベルを読み取ることができなかったことにあるとマーク・ヒューズは結論付けた。
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