レッドブル・ホンダF1は、ニュルブルクリンクで開催されたF1アイフェルGPの土曜日にメルセデスと肩を並べるチーム力で好パフォーマンスを発揮した。初日の悪天候にとって2デー開催となったF1アイフェルGP。7年ぶりの開催でレッドブルとホンダF1ともに現行マシンでのデータがない中でチーム力が問われる土曜日となった。
実際、土曜日の入りとしては良くはなかった。マックス・フェルスタッペンはFP4を4番手で終えたものの、1桁台の気温と風によってマシンのセットアップは決まらず、フェルスタッペンはアウトラップでタイヤのグレイニングを訴える状態だった。ニュルブルクリンクには、これまでレッドブル・ホンダが苦戦を強いられたローダウンフォースパッケージを持ち込んだ。さらに60分という限られた時間のなかで新型フロントウイングを含めたアップグレードをテスト。中速コーナーでフロントが路面を捕らえずアンダーステアが出るなど、これまでの悪癖が顔を出していた。また、ホンダF1にとっても現行パワーユニットでは初めてのニュルブルクリンク。弱点のひとつとも言えるデプロイメントなど、予選までの2時間でやらなければならないことは山のようにあった。対するメルセデスは、DAS(デュアル・アクシス・ステアリング)を駆使して、フロントタイヤの温度で優位に立ち、FP3をワンツーで終えている。しかし、ここでレッドブルとホンダF1は素晴らしい対応力をみせる。マックス・フェルスタッペンは予選Q1をトップタイムで通過。Q2でもメルセデスがミディアムタイヤでのスタートを捨てて、ルイス・ハミルトンがソフトでタイムを更新するまでトップに立ち、0.077秒差の2番手で通過。メルセデスと対応に戦えるパフォーマンスがあることを示した。残念ながら、予選Q3では風向きが変わり、路面温度も下がったことから、マックス・フェルスタッペンはアンダーステアに苦しみ、3番手で予選を終える。「重要なQ3で、路面が冷たく少しアンダーステアになってしまい、フロントタイヤが削れてゴムを使いすぎてしまいラップタイムに少し影響が出てしまった」とマックス・フェルスタッペンは振り返っている。それでも、ポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタスとのトップとの差は0.293秒、2番手のルイス・ハミルトンとの差は0.037秒差だった。これまで平均して0.5秒程度あったギャップがここまで縮まったのは、メルセデスはチームメンバーに2名の新型コロナウイルス感染者が出たことで、6名のスタッフを入れ替えたこと、そして、走行時間不足と未知数な部分が多かったニュルブルクリンクの特性も影響しているが、決勝を前にして良い仕上がりだ。そのことはチームメイトのアレクサンダー・アルボンが5番グリッドを獲得したことからも見て取れる。フェルスタッペンとの差は0.485秒差があったら、アルボンが上位に食い込んでいるのはマシンのバランスが悪くないひとつの指標と言える。決勝では、フロントタイヤが鍵を握ることになるだろう。DASのメルセデスとダウンフォースのレッドブル。タイヤを使いこなせたチームが勝利を手にすることになるだろう。