レッドブル・ホンダF1は、F1イタリアGPのフリー走行でマックス・フェルスタッペンが5番手、アレクサンダー・アルボンが14番手と平凡なタイムで終えた。モンツァは、先週末のスパ・フランコルシャンと同じく“高速サーキット”に分類される。F1ベルギーGPでもローダウンフォースのセットアップを採用したレッドブル・ホンダだったが、実際にはセクター2のダウンフォースが必要な区間に焦点を合わせていた。
しかし、今週末のF1イタリアGPでは前戦よりもウイングの薄い“モンツァ仕様”といえる特別ローダウンフォースパッケージを投入。1からバランス問題に取り組む必要があった。そのため、FP1ではバランスに苦しみマックス・フェルスタッペンがアスカリシケインでクラッシュを喫した。“シケイン”と呼ばれているものの、時速200km/hで突入するS字のシークエンスでリアが流れてスピン。タイヤバリアに突っ込んだ。シーズン序盤にレッドブル・ホンダを苦しめたバランス問題の再発のようなスピンだったが、チームメイトのアレクサンダー・アルボンが3番手という好タイムを記録したことから、予測外にリアの挙動が乱れてしまっていた序盤戦ほど深刻なバランス問題ではないようだ。「午前のセッションでの感触はよく、午後も悪くはなかったで、高速コーナーと低速コーナーでの挙動を改善するためにいくつかの小さな変更を行うのみだと思っている」とアレクサンダー・アルボンはコメントしている。午後は、メルセデスの背後にはランド・ノリス(マクラーレン)がつけたが、これはエンジンに問題が発生して、中盤にタイムを出した他のマシンとは異なり、セッションの終了間際に路面が進化した状態でソフトタイヤでアタックしたことも加味する必要があるだろう。ホンダF1勢の最上位はアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーの4番手となったが、それはレッドブル・ホンダとは異なり、アルファタウリ・ホンダが前戦ベルギーGPからローダウンフォースパッケージを投入してデータがあったことも関係しているだろう。また、マックス・フェルスタッペンのアタックはセクター2でミスがあり、それがなければ、ランド・ノリスのタイムを上回って3番手だった可能性もある。14番手で終えたチームメイトのアレクサンダー・アルボンも1分21秒531と10番手に入るタイムを出していたが、最終コーナーのパラボリカでトラックリミットを超過したことによってタイムを抹消されている。マックス・フェルスタッペンは「ここではどのマシンもトラック上での限界を探っている。特に最終コーナーはコースアウトしやすいけど、プラクティスの際にはどのマシンもその点をあまり気にしていなかったので、タイムを抹消されるケースが多かったのだと思う」と語っている。では、実際のレッドブル・ホンダのポテンシャルはどうだったのだろうか。たとえ、マックス・フェルスタッペンがソフトタイヤでのアタックでタイムをまとめていたとしても、メルセデスとの差は0.8秒以上ある。また、ロングランを見てもメルセデスとは0.5秒の差がある。これは前戦F1ベルギーGPとあまり違いはない。メルセデスはトラブルもなく初日のセッションを終えており、両ドライバーのロングランでタイヤを分けるなど、完璧な準備を進めている。初日にローダウンフォースパッケージに苦戦してクラッシュもあったレッドブル・ホンダと比べると有利なのは明らかだ。予選モードが禁止となることが話題となったF1イタリアGPだが、メルセデスの2台に割って入るにはこれまでのグランプリ以上に難しい週末になりそうだ。
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