レッドブルF1は、いわゆる“ハイレーキ”コンセプトをF1界にもたらした。レッドブルのF1マシンはフロントよりも著しくリアが高い前傾姿勢をとっている。そして、誰もがエイドリアン・ニューウェイのそのアイデアをコピーした。メルセデスを除いては。そして、今では少なくとも3チームがハイレーキを避けている。エイドリアン・ニューウェイはハイレーキ・コンセプトの父だ。1990年代に彼はマシンをフロントからリアに焦点を移し、マシン全体がディフューザーになった。
ただし、このコンセプトは、フロアの側面を密閉して空気の渦から遠ざけることができる場合にのみ機能した。2010年からエンジニアはマシンの下に渦巻く空気が流れるのを防ぐ新しい方法を見つけた。最初に排気ガスの助けを借り、次に意図的に作られた伴流渦を使った。そして、マシンは前傾姿勢をとるようになった。レッドブル・ホンダの2020年F1マシン『RB16』はこの極端な例だ。背面からは正面のTトレイまでのフロア全体を見ることができる。過去10年間で、ますます多くのエンジニアがエイドリアン・ニューウェイの道を歩んできた。一方、メルセデスだけが適度な仕事を続けた。対策として、ホイールベースを拡張して、ダウンフォースを生成するための空力スペースを増やした。メルセデスは過去6年間で最も多くのレースで優勝しているが、ライバルはレッドブルのコンセプトに従うことを好んだ。長い間、メルセデスの秘密は優れたF1エンジンだけにあると信じられていた。しかし、フェラーリのF1エンジンがメルセデスを追い越し、ルノーとホンダが追いついた。そして、メルセデスが非常に良いクルマを作っていることを多くの人々が知ることになった。その結果、メルセデスの保守的な空力アプローチの方が優れているかもしれないと考え出した。今シーズン、レーシング・ポイント、ルノー、マクラーレンは再びメルセデスのコンセプトを採用している。レーシング・ポイントが最も極端で、2019年のメルセデスW10をもとに設計されている。ルノーF1チームののエグゼクティブディレクターを務めるマルチン・ブコウスキーは「我々はロングコーナーのバランスの変化に関する問題を解決するために仕事に戻った」と語る。マクラーレンのF1チーム代表アンドレアス・ザイドルは「昨年のマクラーンはコーナーリング時に敏感に反応しすぎた」と語る。「あらゆる種類のコーナー、すべての動的状態でアウトプットが利用可能でなければならない。我々に関してはあまりに変動が多すぎた」レーシング・ポイントのテクニカルディレクターを務めるアンディ・グリーンは、現在のF1レギュレーションではハイレーキ時代を過ぎ去ったと考えている。それが2019年のメルセデスのコンセプトをコピーした理由のひとつでもある。ハイレーキ・コンセプトについてアンディ・グリーンは「単純にタイヤはダウンフォースに追いつくことができない。ピレリはダウンフォースに応じてタイヤを膨らませている」とコメント。「これにより、後方を高くしたときにタイヤの接触圧を一定に保つのがますます難しくなっている。ダウンフォースをわずかに少なくした方が、バランスの取れたマシンにできる」
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