レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、2019年のF1レギュレーションの変更がオーバーテイクを改善させなかった場合、F1オーナーのリバティメディアは空力ルールの変更を急いだことが“間違い”だったことを認めることになるだろうと語る。F1チームは、この冬にわたって、オーバーテイクを促進するために2019年に導入される多数のレギュレーション変更に取り組むことになった。
2019年のF1マシンはフロントウイングとリアウイングは幅が広がってシンプルな構造となり、バージボードのエリアとブレーキダクトも制限される。リバティ・メディアの試算では、それらの変更によってオーバーテイクが20%増加するという数字が弾き出されてるが、クリスチャン・ホーナーは、2019年のルール変更によってレースが改善されるとの考え方には懐疑的だと語る。「見たところでは、クルマの特性はトラックの各エリアで多少は異なるが、お互いに接近するという点では、まったく違いは生じないと思っている」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「シーズン序盤に起こるだろうと考えているのは、何チームかがそれを適切に処理して、何チームかはできないということだ。そして、開発が行われて進化を遂げ、シーズンの最初の3~4ヵ月でグラフは急激に上がることになるだろう」昨年のF1オーストラリアGPではオーバーテイクの欠如が問題視されており、リバティ・メディアは反対するチームを押し切ってレギュレーションな変更を導入した経緯がある。レギュレーション変更が失敗した場合、どのようなことに繋がっていくかと質問されたクリスチャン・ホーナーは「彼らは今年のこのフロントウイングの変更を急いだことが間違いだったことを受け入れると思う」とコメント。「彼らは2021年の将来のコンセプトから分離して気に入ったものだけをつまみ食いして、現在のクルマに取り入れることを急いだ。全てのことと同じように特効薬などない。全てが他のものと調和して機能しなければならない」「ただフロントウイングだけを抜き出して、レースを良くすると言うのはかなり甘いと思うし、最終的には高価なアプローチだ。そして、もちろん、その費用はチームが負担する」レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、チームは新たな空力レギュレーションに合わせて1500万ユーロ(約18億8200万円)をパーツの開発に費やしたと語っている。クリスチャン・ホーナーは、シーズン開幕戦オーストラリアGPでオーバーテイクが増えるとは考えていないが、それはマシン側ではなく、サーキットのタイトなレイアウトに要因があると考えている。「オーストラリアのレースはまったく同じことになると思う。オーストラリアの問題はクルマにはそれほどない。サーキットの問題だ」「オーストラリアには低速コーナーへ入るビッグブレーキングゾーンがまったくない。なので、マシン間にかなりの速度差がない限り、あそこでのほぼオーバーテイクは不可能だ」「それは何年もの間変わっていない。一連のマシンレギュレーション特有のものではない。訪れるには素晴らしい場所だし、素晴らしい会場だ。だが、サーキットとして良いレースを提供することには限界がある」