レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、ルイス・ハミルトンが2013年にマクラーレンからメルセデスに移籍が決定する前にレッドブルとの契約を“必死に望んでいた”と語った。マクラーレンで育ったルイス・ハミルトンは、F1での2シーズン目となる2008年にタイトルを獲得。しかし、それ以降の4年間はタイトルから遠ざかっており、信頼性トラブルに苦しめられた2012年には大きなフラストレーションを抱えていた。
そして、2012年の後半、ルイス・ハミルトンはメルセデスへの電撃移籍を発表し、F1界に衝撃を与えた。当時のメルセデスは、ブラウンGPから転身を果たした後の3シーズンでわずか1勝しか挙げていないチームだった。しかし、クリスチャン・ホーナーは、この決断を下す前にルイス・ハミルトンはセバスチャン・ベッテルのチームメイトとしてレッドブルで戦うことを希望していたと明かした。「彼はこのチームでドライブすることを必死で望んでいた」とクリスチャン・ホーナーは F1 Racing にコメント。「2012年に彼は我々の元でドライブすることを望んでいたが、我々にはセバスチャンがいて、調整する術はなかった。メルセデスと契約する前、彼は2013年にレッドブルで走ることを熱望していた」メルセデスの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、ルイス・ハミルトンが2012年のF1シンガポールGPでトップを走行しつつもリタイアを喫してタイトルのチャンスがほぼ失われたときに、ハミルトンとの2013年の契約を勝ち取れると確信したという。当時、マクラーレンはレッドブルに一番近い位置にいたライバルの一角だった。クリスチャン・ホーナーは、ライバルであるマクラーレンを弱体化させるためにも、ルイス・ハミルトンにメルセデスのオファーを受けるよう促したという。もちろん、2014年からのV6ターボ時代にメルセデスが圧勝するなど知る術もなかった。「2011年と2012年のマクラーレンはとてもコンペティティブだったし、私は彼がマクラーレンよりメルセデスに行ってくれた方が我々にとっては良いだろうと思った」「なので、彼とサインできなかったときのためにマクラーレンを弱体化すべくニキ・ラウダに彼とサインするよう働きかけた。メルセデスが今日のような絶対的な強豪になるなどと思わずにね」メルセデスに移籍したルイス・ハミルトンは、その後2度のワールドチャンピオンシップを制したが、マクラーレンは2012年末にルイス・ハミルトンが去って以降1勝もしていない。