レーシングブルズ(Visa Cash App Racing Bulls / VCARB)は、AIを活用した顧客管理プラットフォームを展開するSalesforceとのパートナーシップを発表した。両社はAIを活用してファンエンゲージメントやホスピタリティ、レース運営を強化し、F1における新たな観戦体験の創出を目指す。今回の提携では、SalesforceのAIソリューション群「Agentforce 360」を導入。
ガレージからオンラインコミュニティまでを単一のプラットフォームでつなぎ、リアルタイムのデータ活用とAIによるサポートを通じて、ファンとの関係をより深める取り組みを進める。AIとデータでファン体験を進化VCARBはF1でも屈指のデジタル志向チームとして知られており、今回の提携はチーム運営やファンとの関係構築をAIで進化させる長期戦略の一環となる。導入される「Agentforce 360」は、SalesforceのAI、CRM、データ分析機能を統合したプラットフォームで、リアルタイムのファン対応やVIP向けサービスを支援する。また、コミュニケーションツール「Slack」も活用し、レース運営からファンコミュニティ管理まで世界中のチームメンバーを効率的につなぐ。両社はスポンサー契約にとどまらず、AIとデータを活用した新世代F1チームの運営モデルを共同で構築していく考えだ。ガレージにAIエージェント「TORO」を導入提携の目玉となるのが、ガレージ内に設置される「Salesforce Intelligence Centre」だ。ガレージのモニターには、Tableauによるダッシュボードを通じて、マシンの比較データや過去のパフォーマンスなどがリアルタイムで表示される。その中核を担うのが、Agentforce 360を基盤とするAIエージェント「TORO」である。TOROはチームデータを瞬時に分析し、必要に応じて独自のデータビジュアライゼーションを生成。ファンやVIPゲストは、レース戦略やマシンパフォーマンスをこれまで以上に分かりやすく体験できるようになる。Slackでファンコミュニティも新設今後VCARBは、Slack上に専用のファンコミュニティを開設する計画だ。限定コンテンツの配信やレースウイーク中のリアルタイム交流などを提供し、世界中のファン同士やチームとの新たな交流の場を構築する。さらにVIP向けには、F1パドッククラブでの案内やホスピタリティサービスにもAgentforce 360を活用。AIが移動や各種手続きをサポートすることで、スタッフはより質の高い対面サービスに集中できる環境を整えるとしている。バイエルCEO「データでファンとのつながりを深めたい」VCARBのCEOを務めるピーター・バイエルは、今回の提携について次のように語った。「F1は世界でも最もデータが豊富で、最もスピード感のあるスポーツの一つです。我々はそのデータを活用し、ファンとのより深く意味のあるつながりを築くことを目指しています」「Salesforceとの提携によって、AIやデータ、リアルタイムのインサイトを組み合わせ、ガレージから世界中のファンコミュニティまで、あらゆる体験を向上させることができます。イノベーションを重視するチームとして、この新しいF1時代におけるファンエンゲージメントの形を再定義していきたいと思います」一方、SalesforceのCMOであるパトリック・ストークスは次のようにコメントした。「F1は精密さが求められる競技です。Agentforce 360によってデータ、AIエージェント、人を一体化することで、世界規模でファン対応やサポートを変革できることはすでに実証されています」「VCARBはその基盤をさらに発展させ、ガレージへAgentforce 360を導入します。モータースポーツにおける『Agentic Enterprise(AI主体型企業)』の新たな基準を示す存在になるでしょう」今回の提携により、VCARBはAIとリアルタイムデータを活用した新たなファン体験の実現へ向けて本格的に動き出す。ガレージでのデータ可視化からオンラインコミュニティ、VIP向けホスピタリティまで幅広い分野でAIを導入し、F1におけるデジタルエンゲージメントの新たなモデルケースを目指していく。