ピレリが、2019年のF1世界選手権 第11戦 ドイツGP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。猛暑の2日間の後、終始ウエットコンディション下で行われたドイツグランプリ決勝は、多くのピットストップや4回のセーフティカー導入を伴う混乱したレースとなった。最終的に、5回ピットストップを行ったレッドブルのマックス・フェルスタッペンがレースを制し、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが2位を、トロロッソのダニール・クビアトが3位を獲得した。
キーポイント・判断が難しい天候状態により、3~6ストップまで広範囲に渡る戦略が展開された。ハードタイヤを除く全コンパウンドが、様々な局面で使用された。・トータルピットストップ回数は78回に至り、97セットのタイヤが使用された。・セーフティカー先導による3周のフォーメーションラップの後、全ドライバーがフルウエットタイヤでスタートした。その後、各チームは変化する路面状況に対応し、スリックタイヤへ交換する最後のピットストップタイミングがレースの鍵となった。・フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、予選時のメカニカルトラブルによって、グリッド最後方からスタートした。ベッテルは、フェルスタッペンと同様の5ストップ戦略で2位を獲得した。・メルセデスのルイス・ハミルトンは、2回のコースアウトを喫し、ハースのケビン・マグヌッセン同様に6回のピットストップを行った。・ドライバーたちは、徐々にトラックが乾いていくコンディションの下、インターミディエイトタイヤを機能させるべく、オーバーヒート抑制に気を配る必要があった。・スタート時の気温は22度、路面温度は28度だった。レース終了時点の路面は、ほぼドライの状態だった。各コンパウンドのパフォーマンス・ハード C2:ハードタイヤのみ、このレースでの登場機会はなかった。・ミディアム C3:ダンプが残る冷涼なコンディションの下、ソフトの方が性能を発揮していたことから、フェルスタッペンを含む5名のドライバーのみが、限られたラップでミディアムを使用した。・ソフト C4:レース終盤、全ドライバーがソフトを使用した。フェルスタッペンがソフトでファステストラップポイントを獲得した。・インターミディエイト:レースを通してもっとも多く使用され、最長スティントは20周以上だった。・フルウエット:全ドライバーがフルウエットでスタートしたが、大半のドライバーが最初のセーフティカー導入周回中にインターミディエイトへ交換した。マリオ・イゾラ (ピレリ カーレーシング責任者)「ストラテジストにとって、シーズン中で最難関のレースのひとつだったと思います。彼らは、路面のグリップやセーフティカー導入によって訪れるチャンスなど、急激に変化する状況を常に予測しつつ対応することを余儀なくされました。さらに、セクターごとにコンディションが違っていたことも難しい要因でした。最終的に、ファイナルスティントでスリックタイヤへ交換するタイミングが鍵となりました。表彰台に上った3名のドライバーは、スリリングで予測不可能なレースの終盤、乾いていく路面でソフトタイヤのアドバンテージをフルに活かしていました。ウエットレースにおいて、インターミディエイトタイヤは、広範囲に渡るコンディションの下でその汎用性を示しました。どのドライバーもウエットタイヤでの十分な走行経験が無かったことから、クロスオーバーポイントを判断する材料が無い状態でした。今回、インターミディエイトの十分なデータを取得できました。表彰台のドライバーたちはもとより、戦略によって終盤までレースを盛り上げたレーシングポイントとランス・ストロールを祝福します」