ピレリが、2014年 第14戦 F1シンガポールGPが開催されるマリーナ・ベイ市街地コースをタイヤメーカーの観点から解説した。ピレリのF1タイヤレンジ中で最も硬い組み合わせのコンパウンドが使用されたモンツァの後、F1はシンガポールへ向かう。シンガポール用つぃて、レンジ中で最も軟らかい組み合わせであるP Zero イエロー・ソフトとP Zero レッド・スーパーソフトが選択されている。
シンガポールは市街地サーキットだが、非常に例外的。決勝が夜間に行われるため、路面状況と温度の変化が、通用のグランプリ週末とは異なるものになる。しかしながら、都心に位置するトラック特性と全体的に高い気温のため、ドライバーにとってはシーズン中で最も肉体的に厳しいトラックのひとつとなっている。トラクションとブレーキングが、マリーナ・ベイ・サーキットの鍵となる要素。さらに、バンピーなトラック路面が一貫したトラクションの確保を難しくする。また、ドライバーのミスを誘発し、タイヤにとっての障害となる、公道にはつきものの白線やマンホールの蓋などが存在する。シンガポールには、F1カレンダー中で最も多くのコーナーが存在するため、タイヤは一層酷使されることになる。タイヤから見たサーキットシンガポールは、トラクションとブレーキングに尽きる。特に、全ての低速コーナー出口でリアタイアが酷使される。縦方向および横方向の負荷に対応しなければならないため、特に左リアタイヤに負荷がかかる。サーキットに使用される公道がバンピーな路面のため、トラクションはさらに損なわれることになる。スーパーソフトは作動温度領域が低く、広範囲の低い温度条件化でも最適な性能を発揮できるコンパウンド。ソフトタイヤは、対照的に作動温度領域が高く、高温のコンディションに適したコンパウンド。シンガポールでの気温は通常30〜35℃で、これまでウェットレースは行われたことがない。シンガポールの路面は、他の大半の市街地サーキットよりも新しいものだが、非常設サーキットの特性として、他のトラックよりもアスファルトのラバーインに時間を要するため、路面の改善の進みが遅くなる。夕方のレインシャワーも珍しくなく、路面上に乗ったラバーを洗い流してしまう。昨年の勝利戦略は2ストップで、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがスーパーソフトでスタートし、17周目にミディアムへ、44周目にスーパーソフトへ交換してフィニッシュした。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「シーズン中でも屈指の見応えあるレースが展開されるシンガポールを訪れることをいつも楽しみにしています。鮮やかな市街地でのナイトレースは、F1が最高峰であることを示す素晴らしい雰囲気を醸し出します。ナイトレース独特の特性がタイヤに明らかな影響を及ぼしますので、市街地サーキットにおいて不可欠な要素である迅速なウォームアップと高いレベルのメカニカルグリップを提供するために、タイヤレンジ中で最も軟らかい組み合わせのタイヤを選択しました。今年の組み合わせは、ミディアムとスーパーソフトを選択した昨年よりも軟らかいものになっていますので、性能nアドバンテージをフル活用する各チームの興味深いタイヤ戦略が見られるでしょう。伝統的にセーフティカーが導入されることが多いため、あらゆる戦略は、セーフティカー導入に適応できるように柔軟でなければなりません。チャンピオンシップが接戦の様相を呈していますので、エキサイティングで予測不可能なレースが見られると思います」ジャン・アレジ (ピレリ・コンサルタンル)「私自身、シンガポールでのレース経験はありませんが、ランオフエリアが少なく、単純なミスが決定的なダメージに繋がるという点で、モナコに少し似ているという印象を持っています。また、シンガポールは気温と湿度が高く、加えてナイトレースのためにヨーロッパラウンドと同じ時間帯のレースになりますので、ドライバーにとって、いかに肉体的に厳しいレースであるのかが容易に想像できます。テクニカルな観点で最も重要なことは、ベストなトラクションが引き出せるようにマシンをセットアップすることです。したがって、リタタイヤのケアが重要になります。さもなければ、コーナー出口でのタイムロスが大きくなります(シンガポールでは、ほぼ全てが低速コーナーです)。注意を怠れば、レースを台無しにしてしまう可能性があるでしょう」