ピレリが、2014年 第10戦 F1ドイツGPが開催されるホッケンハイムをタイヤメーカーの観点から解説した。ドイツGPは、ニュルブルクリンクとホッケンハイムで交互に開催されており、今年のドイツGPは、ホッケンハイムでの開催となる。前回のホッケンハイムでの開催は、ピレリがF1に復帰して2年目の2012年だった。
ホッケンハイムは、テクニックが要求されるタイトでツイスティなスタジアムセクションと、ストレートを伴う高速セクションの2つの顔を持つサーキット。オーストリアGPと同じ組み合わせである、P Zeroイエロー・ソフトとP Zeroレッド・スーパーソフトが使用される。オーストリア、シルバーストンと同様に、この時期のライン渓谷上流地域の天候は不安定で、日中の気温差が大きくなる可能性がある。ドイツGP後、各チームはハンガリーへと直行する。(ハンガリーでは、ソフトとミディアムが選択されている。)今週末と来週末は、今シーズン唯一のヨーロッパでのグランプリ2週連続開催となる。トラクションとブレーキングは、ホッケンハイムの鍵となる2つの側面。タイヤには、約5Gの減速Gが課せられる。低速のスタジアムセクションでは、低速コーナー出口からの加速ポイントが数多く存在するため、ドライバーは、コンパウンドの表面温度を上昇させるホイールスピンの抑制に気を配る必要がある。スーパーソフトタイヤは作動温度領域が低く、広範囲の温度条件下でも最適な性能を発揮できるコンパウンド。ソフトタイヤは、作動温度領域が高く、高温のコンディションや厳しい路面状態に適したコンパウンド。ホッケンハイムでは、多様な天候状態となる可能性があり、週末を通して何度かシャワーが降る予報も出ている。比較的低い平均気温と短いコーナーの存在により、タイヤを理想的な作動温度領域内に留めておくことは、ホッケンハイムにおける最も大きな課題のひとつ。一般的にタイヤに大きな負荷を課さない滑らかなアスファルト上で、適正なグリップを生み出すことが重要。ほぼ直線とも言えるターン5は、右側のタイヤに高い負荷を課す。ソフトとミディアムが選択された2012年の勝利戦略は2ストップだった。ポールポジションからスタートしたフェラーリのフェルナンド・アロンソがレースを支配し、ピットストップの間に一時的に首位を譲ったものの、その後再び戦略によって首位を奪還した。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「2年ぶりにホッケンハイムを訪れることを嬉しく思いますが、我々が持っているホッケンハイムにおけるF1のデータは、マシンとタイヤが現状とは大きく異なっていた2年前のものだけですので、我々や各チームの作業量は通常よりも増すことになります。したがって、金曜フリー走行は非常に重要となりますので、各チームは、金曜フリー走行を通じて、出来る限り大量の適切なデータを収集するでしょう。スーパーソフトをホッケンハイムで使用するのは初めてですが、今シーズン収集したコンパウンドのデータによれば、スーパーソフトは、2002年の改修前まで世界でも屈指の高速サーキットであったホッケンハイムの多様な厳しさにも適応すると思います。金曜日の午後までには、ピットストップに関する明確な予測ができると思います。ドイツは、Formula Oneのみならず、常に自動車産業全体の中心に位置していますので、非常に熱狂的で知見の豊富なドイツのファンの前で我々の製品を再び披露できることを楽しみにしています」ジャン・アレジ (ピレリ・コンサルタント)「新しいホッケンハイムリンクは、とても素晴らしいトラックです。以前もまた素晴らしいものでした。永遠に続くような複数のアクセル全開のストレートとツイスティなモトドロームセクションが存在し、大規模でした。当時は、中途半端なセットアップが介在する余地はありませんでした。ストレートが短くなった現在は、セットアップに妥協点を見出すことが容易になり、オーバーテイクも以前ほど難しくはありません。路面は非常に滑らかで、良好なタイヤマネージメントの鍵は、リアタイヤをケアすることです。低速コーナー出口での加速ポイントが数多く存在するため、リアタイヤの状態を良好に保つことは、競争力のある性能のために極めて重要になります。そして、天候のことも忘れてはいけません。過去には、ホッケンハイムで豪雨と輝く太陽を同時に経験したことがあります。この変わりやすい天候は、予選と決勝に予測不可能な要素をもたらしてくれます。」


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