アルピーヌのピエール・ガスリーは、2025年F1モナコGPの決勝中に発生した接触事故について、ブレーキの不調を訴えつつも、角田裕毅の動きに問題があったと示唆する発言を残した。問題が起きたのは9周目。ガスリーはトンネルを抜けてシケインへ進入する際、前を走る元チームメイトの角田裕毅をかわそうとした。そのとき、ガスリーのマシンは角田のリア右側に接触し、前輪が乗り上げるような形になったことで、宙に浮きながらシケインを通過することになった。
この接触によってガスリーのマシンはブレーキを失い、以後は3輪走行となった。破損した車体はコース上に多数の破片をまき散らしながら、残り約500メートルを走り続けた。実況席からは危険だとする声が上がり、チームラジオではガスリーの「ブレーキがない!」という悲鳴が伝えられた。本来であれば緊急用のエスケープロードを選ぶべきところだったが、ガスリーは通常ラインを維持したままピットレーンに進入。そのままの速度で進み続け、自力で停止できない状態となった。最終的に、ピットレーンで待機していたウィリアムズのメカニックたちによって、ようやくマシンが止められた。現場を伝えていたSky Sports F1のピットレポーター、テッド・クラヴィッツは、「ガスリーは止まれず、他チームのメカニックに物理的に止められた。本当に危険だった」と状況を説明した。このアクシデントを受け、FIAスチュワードはガスリーの行動について調査を開始した。ただし、ブレーキの完全な喪失が確認されたことで、罰則を受ける可能性は低いと見られている。一方、接触を受けた角田裕毅は無線で「何やってんだこのバカは!」と怒りをあらわにしていた。レース後、ガスリーはSky Sports F1のインタビューで次のように述べている。「角田裕毅がブレーキング中に動くとは思わなかった。かなり近づいていたし、彼はかなり早めにブレーキをかけた。右に動いたと思ったら、今度は左にも動いた。接触のあとでブレーキを失ったんだ」自らのトラブルを主張しつつ、角田裕毅のライン取りを非難するようなこの発言は、一部で「責任転嫁」と受け取られる可能性もある。この接触を除けば、レース中は大きなアクシデントは発生せず、注目されたのは新たに導入された2回のピットストップ義務だった。しかし、各チームがほぼ同様の戦略を選択したため、順位の変動は限定的だった。レースはマクラーレンのランド・ノリスがポールポジションからスタートしてそのまま優勝。モナコでの初勝利を挙げ、今季7戦ぶりの優勝となった。2位にはフェラーリのシャルル・ルクレール、3位にはマクラーレンのオスカー・ピアストリが入り、ピアストリはドライバーズランキング首位を維持したが、ノリスとの差は3ポイントに縮まった。