ピエール・ガスリーにとって、F1エミリア・ロマーニャGPの中止は、イタリア北部を襲った洪水による惨状を考えると、ほとんど慰めにはならないだろう。しかし、アルピーヌF1チームのドライバーにとって、イモラでのレースが中止されたことで、ある種の明るい兆しが見えてきた。昨年、アルファタウリでの最後のキャンペーン中に、ガスリーはスーパーライセンスのペナルティポイントを10ポイント獲得し、2023年のF1シーズン開幕時に自動的に1レースの出場停止処分を受けるまであと2ポイントとなった。
ガスリーは今年最初の5レースでスチュワードのオフィスに出入りしなかったが、F1の12カ月ローリングスケジュールルールに基づくポイント減点の対象となるには、まだエミリア・ロマーニャGPの1イベントをクリアしなければならなかった。5月22日、ガスリーのスーパーライセンスの12カ月間のペナルティポイントを8ポイントに減り、来週のF1モナコGPからレース禁止となるリスクを大幅に軽減する。昨年、ガスリーのコース上での違反行為には、トラックリミットの超過や再スタート時にセーフティカーに遅れをとるなどの軽度なものから、赤旗提示中のスピード違反や接触事故などの重大なものまで、さまざまな行為が含まれていた。今年に入り、アルピーヌF1チームの代表であるオトマー・サフナウアーは、ドライバーに課せられた特定の罰則やペナルティポイントは、犯罪にそぐわないものであったと主張した。サフナウアーはF1委員会で、ドライバーの記録から該当する軽犯罪とそのポイントを削除する案を提示し、F1ドライバーもこれを支持した。しかし、FIAが今シーズンから軽微な違反に対してより寛大な対応をするようになったにもかかわらず、アルピーヌF1チームの少数ライバルを除けば、この提案はF1チームの大多数には受け入れられなかった。「私は少数派だった」とサフナウアーは3月に語っている。「10チーム中、支持したのは3~4チームだった」「支持しなかったチームの中には、支持しない理由が、我々に何か起きればいいというご都合主義的な理由であることを認めているところもあった」