Fダクトは、今年マクラーレンがMP4-25に採用しているリアウイングシステム。Fダクトの構造については様々な憶測があるが、ドライバー前方にあるダクトから取り入れた空気をシャークフィン型エンジンカバー内に設けたダクトまで通し、リアウイング上部のフラップに接続された部分のスリットから排出することで、リアウイングでの気流をストールさせてダウンフォースを減らすという説が有力。それによって、マクラーレンはストレートで時速10kmほどのアドバンテージを得ているという。
Fダクトは、コクピット内にあるトリガーをドライバーが膝で操作することで起動するとされている。ドライバーが足(Foot)で操作するので“Fダクト”という呼び方になったとも言われている。 FIAがマクラーレンのFダクトを合法と判断したことで、ザウバー、レッドブル、メルセデスGP、フェラーリ、ウィリアムズ、フォース・インディアといったチームがFダクトの開発を行っているとしている。今年のレギュレーションではモノコックはホモロゲートされているため、Fダクト用の穴をモノコックに開けることはできない。マクラーレンはFダクトを前提に設計しているため問題はないだろうが、他チームは気流を通す穴を設けねばならず、ザウバーなどは電気系の穴を利用してリアウイングにホースを“増設”している。ザウバーはすでにオーストラリアGPのフリー走行からFダクトをテストしているが、まだ実戦使用のレベルまでの完成度は至っていないようだ。ザウバーの場合は、シャークフィンがリアウイング本体に接続されており、マクラーレンとは逆にリアウイングへの気流を加速させてダウンフォースを増加させることを狙っているとされている。この場合、ストレートスピードが必要な際にはダクトを閉じてFダクトの機能をオフさせることになる。 いずれの方式にせよ、システムにトラブルが発生した場合、常にリアウイングがストールした状態になってしまう可能性があるため、信頼性が重要になってくる。レッドブルのエイドリアン・ニューウェイは、ドライバーがダウンフォースを操作することへの安全性に懸念を示している。まだまだ謎の多いFダクト。各チームがどのようなアイデアをマシンに投入するか注目の集まるデバイスだ。関連:フェラーリ Fダクト (コックピット内画像)
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